創業融資をスムーズに受けるための注意点(1)~物件選びは融資を受ける上でも大事です

個人事業主でも法人でも、事業を始めるときに事務所や店舗等の物件を選ばなければならない場面が出てくるかと思います。

法人であれば本店所在地を決めなければいけませんが、自宅にするのか物件を借りるのかといった事も考えなければなりません。

飲食業や小売業などでは店舗の場所が大事になるでしょう。アクセスのいい場所や人目につきやすい場所ならお客さんが入りやすいですし、反対に隠れ家的な店舗にするために敢えて人通りの少ない場所を選んだりと、お店のコンセプトやブランディングといった面から見ても、非常に重要な選択をしなければなりません。

創業融資を受けるときに、この物件がどう関わってくるのか?どんな物件でもいいんじゃないのか?と思われるかもしれませんが、実は創業融資を受けづらい物件があったり、物件を決めるタイミングがポイントになるケースがあります。

今回はそんな物件選びと創業融資について解説していきます。

物件選びが創業融資に影響を与えるのはどんな時?

そもそも創業融資は、使いみちがはっきりしているものにしかお金を貸してくれません。

さらには事業に必要な資金でなければなりません。

物件に関するものですと、事務所や店舗を借りるために支払う敷金や礼金、保証金等は創業融資の対象になりますが、自宅で開業する場合の住宅ローンの返済や自宅の家賃等は対象になりません。

つまり、事務所や店舗を借りる(または建てる)場合に、その物件が創業融資の審査にも影響を与えてきます。

最初にお話ししたように、店舗であればお客さんが入りやすいかどうか、駅から近いとか駐車場があるかといったアクセスは非常に大事です。

地域の憩いの場になるような飲食店を目指すのであれば住宅街の中にあってもターゲットになるお客さんは来やすいかもしれませんが、会社帰りのサラリーマン向けの居酒屋だったら駅の近くや繁華街に近い方が良いですよね。

このようにどんなコンセプトでどんなお客さんをターゲットにするのかで物件選びは変わってきます。言い換えるとこれがしっかり合致していないと、今後の集客、売上が見込めないと判断されかねません。

ちゃんと返済の見込みがないと創業融資を受ける事ができないので、売上が見込めて利益が出せる物件をしっかり選ぶ必要があります。

店舗を借りる

店舗を借りるときには、場所だけでなくタイミングも考慮しなければなりません。

日本政策金融公庫の創業融資を受ける際には、領収書等の支払った証拠があれば既に支払ったものも創業融資の対象になりますが、信用保証協会の創業融資の場合は、融資の対象がこれから支払うものに限定されるケースがあります。

そうすると、創業融資を受けて物件の敷金や礼金、保証金等を支払いたい場合、先に融資を受けなければなりません。

しかし、創業融資の申し込みをして、面談から審査まで1ヶ月以上かかると、その間に狙っていた物件を他の人に借りられてしまう、そんなケースも出てきてしまいます。

さらには、例えば元々借りようとしていたのが駅から徒歩5分圏内、人通りが多い場所だったのが、他の人に借りられてしまったので結局駅からバスで30分の場所に落ち着いたといったケースになると、もはや売上などその事業の見通し全体が変わってしまうので、創業融資の審査もやり直しといった事にもなりかねません。

日本政策金融公庫の創業融資の場合、審査が終わって融資を受けられる事が決まったら公庫の契約書と一緒にその物件の賃貸借契約書を提出します。

ちゃんと計画通りの物件を借りられたかどうかは公庫でも確認されるので、物件は早めに確保できるように準備しましょう。ちゃんと計画通りの物件を借りられたかどうかは公庫でも確認されるので、物件は早めに確保できるように準備しましょう。

事務所を借りる

店舗と違って、事務所は集客に大きな影響を与えるとは考えづらいです。

だからといって事務所選びは何でも良いかというとそうでもありません。

昨今、レンタルオフィスやシェアオフィスといった形態の事務所も増えてきていますが、金融機関はこういった形態を嫌がるケースが増えています。

ある程度実績のある会社であれば問題ないのですが、創業したばかりで何の実績もない会社だと、レンタルオフィスやシェアオフィスが本店所在地の会社は本当に実体があるのか疑われてしまう事もあるのです。

ただし、レンタルオフィスやシェアオフィスだと絶対ダメという事ではありません。金融機関が創業融資をする場合、今後の返済の見込みがあるか=しっかり利益を稼げる会社か、というのを判断していきますが、実体があるのかどうかわからない会社では返済の見込み以前の問題と思われてしまいます。

繰り返しますが、レンタルオフィスやシェアオフィスが悪いのではなく、あくまで創業したばかりの会社がこういった形態をとると、創業融資を受ける上で不利になるケースがあります。

創業融資を受けない、ある程度会社としての実績がある場合には全然問題ないですが、創業融資を受けたい場合には、少し注意が必要です。

まとめ

このように、創業融資を受ける際に物件が与える影響というのは実はかなり大きいのです。

もちろん物件を借りるための予算や、そもそもいい物件と出会えるかはタイミングや運もあるので、100%理想通りの物件を選べる事は少ないかもしれません。

それでも、物件選びで後悔しないようにしっかり考えて頂きたいですし、創業融資を受けるために必要な事も頭にいれながら、理想の物件を探しましょう。

また、物件が決まりそうだけど創業計画書にどう書いていいかわからない、もっと詳しく聞きたいといったご質問やご相談は、東京都町田市を拠点とする小池税理士事務所までお問い合わせください。