創業融資をスムーズに受けるための注意点(4)~銀行口座はいつ、どこで作ればいいの?~

事業を始めるにあたって、口座は必ずと言って良いほど必要になります。売上の入金や経費の支払等、すべて現金でやり取りする方が珍しいですよね。

創業融資を受ける場合も、日本政策金融公庫か信用金庫・地方銀行等の金融機関かに関わらず、借りたお金は現金でもらうわけではなく、口座に入金されます。また、返済するときも基本的には毎月引き落としで利息と一緒に返済する形になります。

個人事業主として開業する場合には、個人で持っている口座をそのまま使う事ができます。

ただし、今後の確定申告等の事を考えると、事業用の口座とプライベートの口座を分けて使った方がわかりやすいでしょう。

法人を設立する場合にも、法人名義の口座を作らなければなりません。

このような事業用の口座をどこで作ればいいか?というご相談をよく頂きます。

結論からするとどこでも良いと思いますが、それぞれメリット・デメリットがありますので、今回はそんな口座の作り方について解説します。

口座の作成にかかる期間は?

日本政策金融公庫の審査が通ったけど、口座ができてないからお金が入ってこないといったケースがたまにあります。口座をなんてすぐできるんじゃないかと思われる方もいるかもしれませんが、ここ最近では法人でも個人事業主でも口座を作成するには時間がかかり、審査も厳しくなっています。

一般的に信用金庫、地方銀行では2~3週間程かかるケースが多いです。時期によってはさらに時間がかかり、1ヶ月を超えるケースもあります。

口座を作成するのにも審査が必要なので、口座を作成する人が多い時期には審査が遅れる可能性が出てきます。

この審査の基準は金融機関ごとに異なりますが、大枠は変わらないでしょう。直近で金融事故を起こしていたり、少しでも怪しいと思われてしまうと、どこの金融機関でも口座を作る事が難しくなります。 ネット銀行では、比較的早く口座の作成が可能です。個人であれば当日、法人でも2~3日で出来てしまうところもあります。基本的には店舗に行く必要がないので、ネット上で手続きができてしまう便利さも魅力です。

金融機関別のメリット・デメリット

メガバンク

誰もが知っているような銀行なので、社会的信用度が高いという事がまずメリットとして挙げられます。特に創業期、メガバンクと取引している事をアピールできると、新規の取引先にも安心してもらえるかもしれません。

また、支店やATMがたくさんある事もメリットです。全国に支店があるので、相談しやすく入出金等の取引もしやすいというのがメガバンクの特徴です。

反対にデメリットとしては、手数料が高めに設定されている事が挙げられます。数百円の手数料なんてと思われるかもしれませんが、年間で考えるとそれなりのコストになります。特に創業期は少しでもコストを抑えたいという方も多いと思いますので、注意してください。

また、メガバンクの顧客の中心は大手企業になります。個人事業主や中小企業ですと、審査に通りづらくなる傾向があります。特に融資となると小規模な融資は取り扱わない事も多いので、創業期の融資は難しいでしょう。 メガバンクは口座開設に時間がかかる事もデメリットの一つになります。1ヶ月程度かかるケースも多いので、注意しましょう。

地方銀行

メガバンクに比べると規模は小さいですが、その地域では名が知れている事が多いため、全国展開するような事業でなければ社会的信用度は低くありません。

むしろ地域密着型として、その地域の中小企業を応援してくれる銀行が多いため、相談しやすく、融資にも積極的なところがメリットとして挙げられます。

日本政策金融公庫や信用金庫の創業融資では1000万円が限度額の目安となりますが、地方銀行ではそれ以上の融資も場合によっては積極的に取り扱ってくれます。

ただし、メガバンクほどじゃないですがあまり小規模の融資は取り扱われないケースもあります。このあたりは事業の規模感を見ながら上手に選択する必要があります。 メガバンク同様、口座開設に時間がかかる事がある点もデメリットの一つです。信用金庫よりも規模が大きいため、窓口は支店だが本部の承認を得ないといけないといった手続きに時間を要する可能性があるので、注意してください。

信用金庫

地方銀行よりもさらに地域密着型となり、地元企業を応援しようという姿勢が強いです。そのため、色々相談できる、創業融資にも積極的というのが信用金庫のメリットとして挙げられます。融資は地方銀行に比べると取り扱える金額は少額になりますが、中小企業には十分な融資をしてもらえます。また、融資だけでなく、ビジネスマッチングや専門家の紹介など様々な取り組みを通して支援してくれる信用金庫も多いです。

デメリットとしては、近くに店舗がないと使いづらいという点が挙げられます。最近ではインターネットバンキングに対応する信用金庫も増えてきたので、それをうまく使えば問題ないかもしれませんが、支店が近くにないと利用しづらいケースもありますので、注意してください。

ネット銀行

ネット銀行のメリットは、先ほども触れましたが口座開設の期間が短いというのが大きなメリットでしょう。特に創業期、会社を設立してすぐに口座を開設する必要がある時などは、非常に便利です。また、振込手数料が安い事もネット銀行の特徴として挙げられます。さらに会計ソフト等のクラウドシステムと連動しやすいという事もメリットになるでしょう。

反対にデメリットとしては、店舗がないため相談しづらいという事が挙げられます。もちろん電話やメール・チャット等のサポートはありますが、担当者がいなかったり金融機関からの提案をもらいづらいため、金融機関との関係性という点では希薄になります。

また、メリットではクラウドシステムと連動しやすい事を挙げましたが、公共料金の口座振替等に対応できない場合がありますので、注意してください。手軽に利用できるネット銀行ですが、取引先が対応していないと余計手間がかかってしまう可能性があります。

また、ネット銀行の場合、融資ではなくビジネスローンという形が主になりますが、審査は通りやすいが金利が高めという事が多いです。やはり店舗がなくネット上でのやり取りが基本となり、審査にかかる時間は圧倒的に短いですが、他の金融機関と比べて金利は高くなりますので、ご注意ください。

まとめ

ネット銀行も増えてきている中で、どんな金融機関を選べばいいかわからないという方も多いかもしれません。

ただ、どれか一つに絞る必要もありません。事業用の口座は一つしか作れないというわけではないので、いくつかの金融機関と取引しておくのも良いでしょう。

一つの金融機関とだけ取引していると、ある日急に融資をしてもらえなくなったという時に困ってしまいます。いくつか相談できる金融機関があると、A銀行はダメだったけどB銀行は貸してくれたといったケースも出てきます。

また、すぐに口座が必要だからまずはネット銀行を開設して、それから信用金庫で口座を作って融資を受けるといったパターンもあります。

ここで挙げたそれぞれのメリット・デメリットを比較しながら、ご自身にあった金融機関を検討してみてください。それでもお悩みの方は、町田市を拠点とする小池税理士事務所までご相談ください。