【町田市の税理士が解説!】会社の家賃を経費にする「社宅制度」とは?~導入のメリット・注意点と計算方法を税理士が徹底解説!
「会社の近くに引っ越したいけれど、毎月の家賃負担が重い…」「個人事業主から法人化(法人成り)したけれど、自宅の家賃を効率よく経費にする方法はない?」
経営者や役員、従業員の皆さんにとって、毎月の「家賃」は固定費の中でも大きな割合を占めるものです。この家賃を会社の経費に落とし込み、大幅な節税と手取りアップを同時に実現できる最強のスキーム、それが「社宅制度(借上社宅)」です。
一見難しそうに見える社宅制度ですが、仕組みとルールさえ正しく理解すれば、小規模な法人でもすぐに導入可能です。本記事では、社宅制度のメリット、具体的な節税効果、そして税務署に否認されないための「賃貸料相当額」の計算方法まで、分かりやすく徹底解説します!
そもそも「社宅制度(借上社宅)」とは?
社宅制度とは、会社が賃貸物件を契約し、それを役員や従業員にサブリース(転貸)する仕組みのことです。
個人で賃貸契約を結ぶ場合、当然ながら家賃は「個人の給与(税引後の手取り)」から支払います。しかし、社宅制度を活用すると、契約名義が「会社」になり、家賃は一度会社が全額支払うことになります。
ここで重要なのが、「会社が家賃を全額負担して、役員・従業員から1円もお金を取らない」というのは税務上認められないという点です。
もし会社が全額を負担してしまうと、税務署から「家賃全額が、その人への実質的な給与(現物給与)である」とみなされてしまいます。その結果、個人には住民税や所得税、社会保険料が重くのしかかり、会社側も源泉徴収漏れを指摘されるリスクがあります。
なので、会社が家賃を支払う代わりに、役員や従業員から「一定の基準で計算した家賃(賃貸料相当額)」を毎月徴収する必要があります。このルールを守ることで、会社側は家賃の一部を経費(損金)にでき、個人側も非課税で住居のサポートを受けられるようになります。
社宅制度を導入する3つのメリット
社宅制度を導入すると、会社と個人の双方にメリットが生まれます。主な3つのメリットを見ていきましょう。
メリット①:会社側・個人側どちらも税金・社会保険料が安くなる
これが最大のメリットです。 例えば、月給50万円の役員が、個人で家賃15万円のマンションに住んでいるとします。この場合、税金や社会保険料は「50万円」に対して課税されます。
これを社宅制度に切り替え、会社が家賃15万円を支払い、役員から「賃貸料相当額(仮に役員負担を5万円とする)」を給与天引きで徴収したとします。この時、役員の額面給与を「40万円」に引き下げれば、会社が実質的に負担している総額(給与40万+社宅負担10万=50万)は変わりません。しかし、個人の税金や社会保険料は「40万円」をベースに計算されるため、非常に安くなります。
会社側としても、支払う厚生年金や健康保険などの「社会保険料の会社負担分」が軽減されるため、双方にキャッシュが残ります。
メリット②:個人事業主の「家事按分」よりも経費化できる割合が大きい
個人事業主の場合も、自宅の一部をオフィス(事業用)として使っていれば家賃を経費にできます(家事按分)。しかし、経費にできるのはあくまで「仕事で使っている面積や時間」の割合(一般的には2割〜5割程度)に限られます。
一方、法人化して社宅にすれば、物件の5割〜8割近く(条件を満たせばそれ以上)を会社の経費(損金)として処理することが可能になります。プライベートな空間も含めて会社負担にできる割合が圧倒的に増えるため、法人化のタイミングで社宅を導入する経営者が非常に多いのです。
メリット③:従業員の福利厚生になり、採用力が強化される
社宅制度は役員だけでなく、従業員にも適用できます。「住宅手当」として現金で支給すると、それは給与扱いになり所得税・住民税・社会保険料の対象になってしまいます。しかし、「借上社宅」として提供すれば、従業員も実質的な負担を減らしながら可処分所得を増やすことができるため、満足度の高い福利厚生となり、求人時の強いアピールポイントになります。
役員社宅と従業員社宅、それぞれ会社負担はいくらまで?
社宅の家賃を会社がいくら負担できるか(=本人からいくら家賃を徴収すればいいか)を正しく決めるには、国税庁が定めた「特別な計算ルール」を知る必要があります。
国税庁のルールでは、実際の家賃ではなく、物件の資産価値(固定資産税の評価額)や床面積をベースにした以下の数式で「家賃の基準額(これを賃貸料相当額と呼びます)」を計算します。
この数式は「時価」よりも圧倒的に低い金額が算出される仕組みになっており、計算すると実際の家賃の「20%〜30%程度」の少額になります。
この国の特別ルールをベースに、役員と従業員で会社負担がどう変わるのかを見ていきましょう。
①役員社宅の場合:「国の基準額」を100%本人が払う
役員の場合、この国のルールで計算した「基準額(実際の家賃の20%〜30%)」の全額を、本人が会社に支払う必要があります。
・一般的な広さのマンション(小規模な住宅):家賃の約7割が会社負担に!
※RC造などの場合は床面積99㎡以下、木造などの場合は床面積132㎡以下の物件が対象です。
例えば、実際の家賃が15万円の部屋でも、国のルールで計算した基準額が「4万円」であれば、役員本人の負担は4万円で済みます。差額の11万円(家賃の約7割程)は、会社が合法的に経費処理して負担できます。
・広めの戸建てやタワマン(RC造で99㎡超):家賃の5割まで会社負担にできる
部屋が基準より広くなると、この格安の計算式は使えなくなり、一律で「実際の家賃の50%」を役員が負担するルールに変わります。家賃30万円なら、会社の経費にできるのは15万円までです。
・240㎡を超えるような豪邸:会社負担はゼロ
いわゆる「豪華社宅」とみなされると、会社の経費には1円も落とせず、全額役員の自己負担になります。
②従業員社宅の場合:「国の基準額」のさらに半分でOK(家賃の8割が会社負担に!)
・家賃の8割以上を会社負担にできる
従業員の場合、本人の最低負担額は「実際の家賃のわずか10%〜15%程度」で良いとされています。例えば、家賃8万円の物件なら、社員の負担は8,000円〜12,000円だけでOK。残りの7万円程を会社が全額経費にできます。
・面倒な計算を省くなら「家賃の半分負担」でもOK
上記の「8割会社負担」にするには細かい税金計算が必要で、少し手間がかかります。もし面倒な場合は、一律で「家賃の50%」を従業員からもらう形にするだけでも、税務署から問題なく認められる簡単な救済ルールも用意されています。
社宅制度を導入する際の注意点とリスク
非常にメリットの大きい社宅制度ですが、税務調査で指摘を受けないためには、以下の注意点を必ず守る必要があります。
注意点①:契約名義は必ず「会社」にする
最も多い失敗が、「もともと個人で契約していた物件の家賃を、そのまま会社の口座から引き落とす」というケースです。これは絶対に認められません。契約名義が個人のままだと、会社が支払った家賃は単なる「個人への給与(または貸付金)」になってしまいます。 必ず、大家さんや管理会社と相談し、契約名義を「法人名義」に切り替える(または新規で法人契約する)手続きを行ってください。
注意点②:固定資産税の「課税標準額」の確認が必要
先ほど紹介した「小規模な住宅」の格安な計算式を使うためには、その物件の「固定資産税の課税標準額」という数値を知る必要があります。 これは賃貸契約書には載っていません。大家さんに「社宅の税務計算で必要なので、固定資産税の課税明細書のコピーをください」とお願いするか、会社が委任状をもらって役所で「固定資産評価証明書」を取得する必要があります。大家さんの協力が必要不可欠になる点に注意しましょう。
まとめ
社宅制度(借上社宅)は、経営者の手取りを最大化し、会社の法人税をスマートに削減できるトップクラスの節税手法です。
しかし、
・「自社が検討している物件は『小規模な住宅』に該当する?」
・「固定資産税の書類が手に入らない場合の代替計算は?」
といった実務的な疑問やハードルは多く存在します。計算を間違えると、後から多額の追徴課税を課されるリスクもあるため、自己判断での運用は危険です。
小池税理士事務所では、状況に合わせたシミュレーションをご提案致しますので、「家賃を賢く経費にしたい」とお考えの会社様は、ぜひ一度お気軽にご相談ください!

