【町田市の創業融資に強い税理士が解説!】創業融資での失敗事例と対策①~自己資金編

これから起業する方や起業したばかりの方にとって、日本政策金融公庫や民間の金融機関による創業融資は非常に重要な資金調達手段です。低金利、無担保無保証で融資を受けられる事が多いため、利用しやすい融資制度として多くの方が活用されています。

しかし、以前の記事で何度も触れているように、創業融資にはいくつかの審査基準があり、その中でも「自己資金」は非常に重要な要素です。自己資金が不足していると、審査で不利になり、融資を受けられない可能性が高まります。この記事では、自己資金に関する失敗事例をいくつか紹介し、成功するためのポイントや対策について詳しく解説します。

自己資金が全くなくて融資を断られたケース

失敗事例:起業資金をすべて借入で賄おうとしたAさんの例

Aさんは、これから始める事業に自信を持っており、創業資金をすべて日本政策金融公庫の創業融資で賄おうと考えていました。具体的には、事業の立ち上げに必要な資金が1,000万円で、その全額を融資で調達しようとしました。しかし、融資の申し込みを行った際、担当者から「自己資金が不足している」と指摘され、融資は却下されてしまいました。

日本政策金融公庫では、自己資金がない状態での融資は非常に難しいです。なぜなら、自己資金が不足している場合、起業に対する熱意や、事業を成功させるための責任感が欠けていると判断されるからです。さらに、自己資金がゼロの場合、金融機関側から見ると、全てのリスクを他者(金融機関)に押し付けるような印象を与えることがあります。

対策:自己資金の重要性を理解し、事前に準備する

自己資金は、事業をスタートするための初期費用を自己負担する力を示すだけでなく、経営者としての信頼性や責任感を証明するものです。一般的には、融資額の10~30%程度の自己資金が必要とされています。たとえば、1,000万円の融資を希望する場合は、100~300万円程度の自己資金を持っていることが理想です。

事業計画の作成と並行して、自己資金を積み立てることを意識しましょう。貯金以外にも、家族や親族からの援助や、不要な資産を売却して資金を集める方法もあります。また、副業などで一定の収入を得て、自己資金を増やす努力をすることも重要です。

自己資金の使途が不明瞭で失敗したケース

失敗事例:自己資金を用意したものの、計画に組み込まれていなかったBさんの例

Bさんは、自己資金として300万円を用意していましたが、その使途が明確に計画書に反映されていませんでした。融資の申し込み時に提出した事業計画書では、具体的な資金の使い道が曖昧で、自己資金がどのように事業に活用されるのかが担当者に伝わらなかったため、最終的に融資は却下されました。

自己資金を持っているだけでは十分ではなく、その資金がどのように事業に貢献するのかを明確に示すことが必要です。事業計画書に、自己資金をどのように初期投資や運転資金として使用するのかを具体的に記載し、融資担当者に対して計画が現実的であることを伝える必要があります。

対策:事業計画書に自己資金の使い道を具体的に記載する 自己資金は、事業計画の中にしっかりと組み込まれている事を明確に示すことが重要です。たとえば、設備投資に500万円、運転資金に300万円必要な事業計画の場合、自己資金は300万円あるけど800万円の融資を受けるというのは認められません。自己資金の全額を事業につぎこめとまでは言われませんが、一定額は自己資金で賄わないと厳しいでしょう。

自己資金が少なすぎて信用されなかったケース

失敗事例:少額の自己資金で融資を申し込んだCさんの例

Cさんは、わずか50万円の自己資金で1,000万円の融資を申し込みました。自己資金の割合が少なすぎるため、事業に対する自己負担の意識が低いと見なされ、融資が承認されませんでした。事業に対して少額の自己資金しか用意できない場合、金融機関はその事業が計画通りに進まないリスクが高いと判断する傾向があります。

対策:自己資金の比率を高め、信頼性を確保する

理想的な自己資金の割合は、事業計画として必要な金額の10〜30%程度とされています。Cさんの場合、1,000万円の融資を希望するなら、最低でも150万円から300万円の自己資金が求められます。自己資金を増やすためには、個人的な貯蓄だけでなく、家族や親族からの支援、他の収入源を活用することも検討すべきです。

自己資金が少ない場合、初期費用を抑えたビジネスプランを考えることも一つの方法です。たとえば、オフィスの賃貸を避けて自宅での事業スタートを検討したり、必要最低限の設備で運営を開始したりすることで、初期投資を削減し、融資審査を通過しやすくすることができます。

自己資金を使い切ってしまったケース

失敗事例:融資前に自己資金を使い果たしてしまったDさんの例

Dさんは、創業準備中に自己資金を全て使い切ってしまい、融資を申し込む際にはほとんど手元に資金が残っていない状態でした。融資担当者からは、資金繰りの計画が甘いと指摘され、融資は否決されました。自己資金を事業開始前に全て使い果たしてしまうと、金融機関からはリスクの高い投資と見なされ、融資を受けるのが難しくなります。

対策:自己資金を計画的に管理する

自己資金は、創業準備段階から事業開始後まで計画的に使用することが大切です。融資審査前に使った分も自己資金として認めてもらう事は可能ですが、融資審査前に自己資金を使い切ってしまうと、融資審査に悪影響を与える可能性があります。事業に必要な初期投資と運転資金を計画的に配分し、融資審査まで十分な資金を残しておくようにしましょう。

また、事業開始後の運転資金として自己資金を一部確保しておくことも重要です。これにより、事業が安定するまでの期間に必要な資金が確保でき、金融機関からも信頼を得やすくなります。

まとめ

以前の記事でも書いたように、日本政策金融公庫の新規開業資金という創業融資制度では、自己資金の要件がなくなりました。

だからといって、自己資金が0円でも誰でも融資を受けられるというわけではありません。

創業融資において、自己資金は今でも審査を通過するための重要な要素です。自己資金が不足していたり、その使い道が不明確であったりすると、融資審査において不利になることがあります。事業計画書に自己資金の具体的な使い道を明記し、計画的な資金運用を示すことが成功へのカギとなります。

小池税理士事務所では、創業計画書の書き方をはじめ、創業融資を受けるためのサポートを行っております。

創業融資についてわからない事や不安な事がございましたら、お気軽にお問い合わせください。