様々な融資制度を利用して上手にお金を借りましょう (2)~創業融資の返済期間は何年にするのが良い?

事業を始めるにあたって、創業融資による資金調達は非常に有効な手段です。しかし、創業融資はあくまで借りたお金なので、当然ですがいずれは返さなければなりません。

さらに、返済する時には利息もつけて返済しなければならないので、返済期間を短くした方が利息が少なくて済むし得じゃないかと考える方も多いです。

果たして本当に得と言えるのか、今回は返済期間についてお話いたします。

日本政策金融公庫の創業融資の返済期間

融資の制度によって返済期間は異なりますが、基本的には設備資金は20年以内、運転資金は7年以内とされています。

ただし、設備資金で20年になるケースは稀だと思います。例えば自社ビルを建てるなどの大規模な設備投資をする場合には返済期間を20年にできるかもしれませんが、創業時にそのようなケースはなかなかないでしょう。 業種や事業計画、設備の内容等によって変わりますが、一般的には設備資金の返済期間は10年以内になる事が多いです。

返済期間は短い方がいい?長い方がいい?

冒頭でもあったように、返済期間は短い方が支払う利息が少なく済むんじゃないかと考える方は多いと思います。実際に私が相談を受ける時もそう仰る方はよくいらっしゃいます。

たしかに返済期間が長いと、その分支払う利息は増えます。

しかし、本当に返済期間が短い方が得なのでしょうか?

金融機関から融資を受けると、毎月返済をすることになりますが、返済期間が短いとその分月々の返済額が大きくなります。反対に、返済期間が長いとその分月々の返済額は少なくなります。

例えば、600万円の融資を受けた場合、返済期間が5年(60ヶ月)だとすると、単純計算で

600万円÷60ヶ月=100,000円

となりますが、同じ金額で返済期間が10年(120ヶ月)だとすると、

600万円÷120ヶ月=50,000円

となります。

それでも最終的に600万円返さなければいけないじゃないかと言われればそうなのですが、特に創業期というのは何かとお金が必要になります。

思ったように売上が上がらなかったり予想外の出費があったりと、計画通りにいくとは限りません。それどころか、もっとお金が必要だった...なんて事がほとんどです。

そのような時期に無理に返済額を増やしても、余計資金繰りが厳しくなるだけです。

特に創業融資というのは、最初の資金繰りに不安があるから借りるものだと思いますので、できるだけ返済期間を長くして手元のお金をなるべく減らさないようにした方が得策と言えるでしょう。

ちなみに、資金繰りが厳しくなったらまた融資を増やせばいいんじゃないかと考えられる方もいるかもしれません。一度創業融資を受けられたんだから、また借りられるだろうと思われるかもしれませんが、一度目の創業融資からまたすぐに借りる事は、基本的にはできません。

一度目の創業融資を受けてからその翌月にまた融資を受けるとなると、計画性がないとみなされてしまいます。 それなら最初に余裕を持って借りておくべきですし、とにかく手元の資金をなるべく減らさない努力が必要になります。

据置期間とは?

返済期間に絡むお話ですが、融資には据置期間というのがあるのをご存じでしょうか?

基本的には融資を受けるとその当月か翌月には返済がスタートするのですが、据置期間というのは、元金の返済を待ってもらって利息のみを支払う期間の事を言います。

例えば据置期間を6ヶ月としてもらうと、融資を受けてから6ヶ月は利息の支払のみで、7ヶ月目から元金の返済がスタートするといった形です。

これも結局返済する金額は変わらないじゃないかと言われればそれまでですが、意外と大きな効果があります。

創業融資を受ける時期というのは、創業準備期だったり事業開始直後だったりという方が多いと思います。

このような時期は、まだ売上がないとか、売上はあるけどまだ手元に入金されてないという事も多い時期です。

それでも経費は支払わなければならないし、お金は出ていく一方です。そのような少しでも支出を減らしたい、手元の資金を多く残しておきたいという時期に、据置期間というのは非常にありがたい存在なのです。

こちらも据置期間は2年以内とされていますが、一般的には3ヶ月~6ヶ月ほどになることが多いです。

それでも半年あれば収入を安定させて、余裕を持って返済できるようになる可能性が高くなるでしょう。

注意していただきたいのは、据置期間があっても返済期間は変わりません。

例えば10年(120ヶ月)返済、据置期間を6ヶ月とした場合でも、融資を受けた120ヶ月後には完済する予定となります。この場合、最初の6ヶ月は元金の返済がないため、残りの114ヶ月で返済する事となります。

そうなると若干ではありますが、月々の返済額が増える事となりますので、ご留意ください。

まとめ

今回は創業融資の返済期間についてお話しました。

特に創業融資ではできるだけ返済期間を長くした方が資金繰りを安定させる事ができるとい考え方になります。

たしかにその分利息を支払わなければなりません。ただ、利息というのは安心して経営するための保険料です。

本業に集中するために、資金繰りで悩まなくて済むように意識してみましょう。