会社を設立するときに知っておくとオトクなこと⑷~会社名(商号)を決めるときに抑えるべきポイント~

これまで複数回にわたり、法人を設立する際に知っておくとオトクなことを解説していますが、今回は商号について解説していきます。

 商号とは、いわゆる会社名のことで、法務局に登記した正式な会社の名称になります。人によっては、この商号を何にするかを一番悩んでしまうと思います。

基本的にこの商号は自由に決めることができます。ですので、自分の好きな言葉だったり、この会社をこういう風にしていきたい!という意味を込めた商号にすることが多いようです。

 ただし、本当に自分の好きなように自由に決めて良いというわけではなく、守らなければいけないルールや注意点が存在するので、今回はそれを解説していきます。

商号と屋号の違いは?

まず初めに、商号と屋号の違いについて説明していきます。感覚的には似ているものなので混ざってしまう人がいますが、屋号は、個人事業主の使用する商業上の名称のことで、必ず付けなければならないものではありません。

一方、商号については、法人が法律的に登記する際に使う正式な名称になります。

また、商号は一つの法人で一つしか付けることはできませんが、屋号については一つの法人でも、店舗が複数あれば、店舗ごとに屋号を付けることが可能です。

ちなみに、個人事業主が、法人成りをする場合、屋号の名前をそのまま商号にするというケースは多くあります。

会社名(商号)を決める際のルール

①必ず会社形態(株式会社など)を入れる

商号には、必ず会社形態を入れなければなりません。

会社形態とは、株式会社や合同会社などがあり、法人を設立する際には、どの会社形態にするかを予め決めておく必要があり、その決めた会社形態+名前(もしくは、名前+会社形態)が商号になります。

また、会社形態については、商号が変わる以外にも、法人の設立費用やその後の法人経営に関わっていくものになります。過去の記事で、会社形態について詳しく解説している記事あるので、ご興味のある方は是非読んでみてください。

「会社を設立するときに知っておくとオトクなこと⑴

~株式会社と合同会社はどっちにするべき?~」

②同一の住所で同じ商号は使えない

同一の住所に、同じ商号を登記することはできません。逆に言えば、同じ住所でなければ同じ商号で登記することが可能です。(後述しますが、ケースによっては、住所が違って登記できたとしても、同じ商号にしない方が良いことがあります。)

なかなか稀なケースだとは思いますが、最近だと、シェアオフィスやバーチャルオフィスで登記をすることも増えてきているので、その場合は事前に同じ住所に同じ商号がないかどうかをチェックしておくと良いでしょう。

③商号に使用できる文字や記号が決まっている

商号に使用できる文字や記号は、商業登記規則等で定められており、それ以外のものを使用することは出来ません。

基本的な文字や記号については使用することができますが、「!」「?」「☆」「♪」といったような記号を付けることはできません。

また、使用できる記号についても、商号の最初や末尾に付けることは出来ないので、注意が必要です。

抑えておきたいポイント

①他社と同じ、もしくは似たような商号にしない

住所が違えば、同じ商号でも登記することができると前述しましたが、実際には、あまりおすすめできません。法律上問題はありませんが、同業種の商号や有名なブランドと同じ名前もしくは似た名前にすることで、商標権の侵害等のリスクが発生する場合があります。また、有名な会社と名前が同じだと、もし自社でホームページ等を作成した場合に、名前で検索されても見つからず、埋もれてしまうかもしれません。

 どうしても似たような名前や同じ名前にしたい場合には、事前に専門家に相談することをおすすめします。

②ドメインを取得できるか確認しておく

法人を設立すると多くの場合、自社のホームページを作成するかと思います。その際に必要となってくるのが、この「ドメイン」になり、一般的には、ドメインに商号を入れることで、ホームページと自社の名前に関連性を持たせることが多くあります。  ただ、ドメインは先着順になるため、先に他の会社でドメインを取得されていた場合は、そのドメインで登録することができなくなってしまいます。そのため、使いたいドメインが他で使われていないか事前にチェックしておきましょう。

まとめ

商号は、事業活動をしていく上で、対外的に公表されるものであり、会社の顔になるものなので、慎重に決めた方が良いと思います。あとから商号を変更することも可能ですが、変更するのにも手間と時間がかかるので、事前にルールを知った上で、決めることでスムーズなスタートを切れると思います。

 なお、法人を設立する際には、他にも考慮すべき点が多くあり、本業をしながら、自分で手続きを行っていくというのは大変だと思いますので、不安な方は専門家に一度相談することをおすすめします。

 創業や税金について何かご不明点やご相談したいことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。