会社を設立するときに知っておくとオトクなこと⑴~株式会社と合同会社はどっちにするべき?~

法人を設立する際に、まず初めに考えなければならない項目の一つに、会社形態の選択が挙げられます。

現在日本で、会社を新規設立できる会社形態は、「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」の4種類と定められています。

ただ、それぞれ名前は聞いたことあるけど、実際にはどんな違いあって、自分にはどれが向いているか分からない。という人は多くいると思います。

ですので、今回は一般的にメジャーな「株式会社」と「合同会社」についての違いを解説しますので、これから会社設立を考えている方は、最後まで読んで参考にしてみて下さい。

株式会社とは?

株式会社とは、株式を発行することで資金を集め、出資者から委任を受けた経営者が事業を行う会社形態で、日本の会社の90%以上がこの株式会社にあたります。

株式会社のメリット

①社会的信用が高い

 冒頭でも書いた通り、日本の会社の多くは株式会社です。そのため、他の会社形態よりも世間一般的に知名度があり、社会的信用が高いといえるでしょう。

さらに株式会社はほかの会社形態と比べると、会社法などの遵守すべき法律や規制が多いことも社会的信用が高い理由の一つです。

業界や業種によっては、株式会社でないと仕事が取りにくいというケースもあったりします。

②投資家の出資や銀行の融資など資金調達がしやすい

 二つ目は、資金調達がしやすいということです。社会的信用が高いということもあり、他の会社形態よりも金融機関等からの融資が受けやすくなる場合があります。

 また、株式会社であれば、株式を発行することで、投資家から資金を集めることができます。

株式会社のデメリット

①設立費用が高い

 株式会社のデメリットとして大きいのが、他の会社形態と比べると設立費用が高いということです。

株式会社の設立の際にかかってくる費用としては、「定款認証印紙代」「定款認証手数料」「登録免許税」があるのですが、「定款認証手数料」は株式会社のみにかかってきます。さらに「登録免許税」が他の会社形態よりも高く、司法書士の先生の手数料なども含めると20万円以上かかってしまいます。

②決算公告の義務

 二つ目は、株式会社には毎期決算毎に会社の数字を公表する義務があることです。

具体的には、貸借対照表(大会社は損益計算書も含む)を官報・日刊新聞紙・電子公告のいずれかに掲載しなくてはならず、何に載せるかによって金額は変わってきますが、掲載料がかるため、手間と費用の負担が必要になります。

なお決算公告を怠った場合は、100万円以下の過料に処されるので、注意が必要です。ただ実際には、罰則に課される確率が低いなどの理由から、ほとんどの株式会社が決算公告を実施していないというのが現状です。とはいえ、法律上はしなくてはならないものですので、実施していきましょう。

③ランニングコストとして登記費用がかかる

 三つ目は、ランニングコストとして登記費用がかかることです。

株式会社の役員の任期には期限(最大10年間)があり、再度役員が重任する場合は、重任登記をする必要があります。登記の手間ももちろんありますが、登記費用が別途発生するため、他の会社形態よりもランニングコストがかかることになります。

合同会社とは?

合同会社とは、2006年から新しく作られた出資者と経営者が同一な会社形態で、株式会社に比べると設立件数はそこまで多くないというのが現状です。ただ最近ではAmazonやGoogleのような外資企業が合同会社を選んでいることもあり、注目度が上がってきています。

合同会社のメリット

①設立費用、ランニングコストが安い

 株式会社の設立費用が高いと説明しましたが、合同会社においては、定款認証の手続きが必要ないため定款認証料がかからず、さらに登録免許税も株式会社よりも安いので、合同会社の設立費用は約10万円で済んでしまいます。

 会社のスタートアップの時期に10万円以上のコスト削減が出来るのは、とても魅力的だと思います。

 また、役員任期の更新がいらないので、登記の手間と費用を抑えることが出来ます。

②決算公告の義務がない

 二つ目は、株式会社のデメリットで上げた「決算公告の義務」がないということです。

これについても株式会社では必要になってきますが、合同会社であれば決算公告を行う必要がないので、手間と費用を省くことが出来ます。

③株式会社に移行できる

 三つ目は、合同会社を設立した後からでも株式会社に移行ができるということです。

最初のうちは初期費用を抑えて、ゆくゆくは事業を拡大させて株式会社にしたいと思う方もいると思います。そうしたときに合同会社であれば、ご自身のタイミングで株式会社に移行することが出来ます。  ただし、株式会社に移行する場合は登記費用(約20万円)がかかってくるので、注意が必要です。

合同会社のデメリット

①社会的信用が株式会社より低い

 合同会社のデメリット一つ目が信用度の問題です。最近では有名企業の合同会社も増えてきましたが、それでもまだまだ株式会社の方が圧倒的に多く、認知度や信用度に関しては低いというのが実態でしょう。

②資金調達がしにくい

 二つ目は資金調達がしにくいということです。

前述した通り、合同会社は「出資者=経営者」であるため、すべての出資者が同じ議決権を持つことになります。そのため、資金調達のために出資をしてもらうと、役員が増えることになり、何かあった時に意思決定が出来ず、混乱を招くことになるため、容易に出資を受けることが出来ないのです。

また、株式会社よりも社会的信用が低いことから、金融機関等から融資を受ける際にも、少し不利になってしまう傾向があります。

株式会社が向いているパターン

株式会社が向いているパターンとしては、

・将来的に事業を拡大して上場したい

・取引先が企業中心(B to B)

・多くの資金が必要になることが予想される

 が挙げられます。

会社を大きくして、ゆくゆくは上場したいと考えているなら、迷わず株式会社で良いでしょう。これに関しては、事業を大きくして求人をしていく上でも、社会的信用のある株式会社の方が人が集まりやすいかもしれません。 また、以前より少なくなってはいますが、取引先の企業に「株式会社でないと取引ができないルールなんです。」と言われることもあり、株式会社を選択せざるを得ない場合もあったりします。

合同会社が向いているパターン

合同会社が向いているパターンとしては、

・お客さんが一般消費者(B to C)

・会社設立後、事業を大きくするつもりがない

・ひとり社長で、節税のために設立する

 が挙げられます。

お客さんが一般消費者の場合は、無理矢理株式会社にする必要もないかと思います。一般消費者の人は、お店の名前を気にすることはあっても、株式会社じゃないから利用しないと考える人はあまりいないでしょう。

また、事業を大きくするつもりがない場合や、ひとり社長で節税のために設立する場合は、少ない費用で設立できる合同会社で良いかもしれません。

まとめ

会社形態を何にするかは、会社を設立するなら誰しもが初めに悩むところだと思います。今回紹介した点はあくまで主要な点だけを紹介しただけですので、実際には中長期的に会社をどうしていきたいかを考えていく必要があると思います。

 具体的にどうやって手続きを進めていくかを含めて、自分一人では不安という方は、同じ業種で会社を設立した人や専門家に相談してみることをおすすめします。  町田市を拠点としている小池税理士事務所も、会社のスタートアップのサポートを得意としておりますので、なにか相談したいことや不明な点があれば、お気軽にお問い合わせください。