所得税を一括で支払えないときはどうする? ~所得税の「延納制度」について解説します~
「一括で支払うのは、難しいけれども、少し待ってもらえればお金を用意出来る。」
という様な、確定申告書は完成したものの、売上の増加により予想していたよりも所得税の支払が多かった。事情によって、お金の工面が出来なくなった。など様々な事情により、税金を一括で支払うことが難しいということもあると思います。 そんな時に、知っておくと役立つ「延納制度」についてご紹介します。
「延納制度」とは?
所得税の「延納制度」とは、通常、納期限(3月15日)まで(振替納税の場合は振替日)に納付すべき税額の2分の1以上を納付すれば、残りの税額の納付を5月31日まで延長することができる制度です。
延納期間中は、残りの税額に年7.3%か特例基準割合のいずれか低い割合で利子税がかかります。
※令和5年、令和6年の特例基準割合は0.9%
「延納制度」を利用する場合には、
確定申告書第一表の右下にある、延納の届出欄の「64 申告期限までに納付する金額」と「65 延納届出額」にそれぞれ金額を記入し、3月15日までに申告書を提出します。
例えば、その年の所得税の納付額が100万円だったとすると、
3月15日までに2分の1以上を納付する必要があるため、以下の図のように
「64 申告期限までに納付する金額」に50万円以上の金額、
「65 延納届出額」に50万円以下の金額をそれぞれ記入すれば完了です。
3/15期限の納付のときには、「64 申告期限までに納付する金額」に記入した金額を納付すれば完了になります。
延納した分の利子税については、後日税務署から利子税が計算された納付書が届きますので、お近くの金融機関等でお支払いください。
他にもある納付を遅らせる方法
クレジットカード支払での分割
納付をクレジットカードで支払い、支払回数を選択することで、分割で支払うことができます。
ただし、クレジットカード納付の場合、別途手数料がかかってくるので、注意が必要です。
※詳しい手続き方法については、以下の国税庁のHPをご参照ください。
(国税庁HP「G-2-4 クレジットカード納付の手続」)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/nofu-shomei/nofu/credit_nofu/index.htm
振替納税
「振替納税」とは、銀行口座から口座引落しにより、納付をする方法です。分割して支払うことは出来ませんが、本来の納付期限の3月15日から約1ヶ月遅らせて納付することができるため、その間にお金の準備をすることが可能です。
また、手数料がかからないことも大きなメリットだと思います。
「振替納税」について詳しい内容が知りたい方は、以下に解説している記事がありますので、参考にしてみてください。
「申告だけじゃ終わらない!確定申告のおすすめの納付方法~振替納税を使って、毎年の納付を楽にしましょう!」
納税の猶予
税金の支払いが難しい理由が、猶予要件に該当する場合、事前に申請書を提出することで、納税の猶予受けることができます。
猶予を受けることができる期間は、原則1年間で、必要に応じて分割で税金を支払っていくことが可能です。
ただし、税務署に納税の猶予を認めてもらう必要がありますので、もし猶予要件に該当する方は、所轄の税務署に相談してみましょう。
まとめ
お金が一時的に足りなく、5月31日までになら用意できるような場合は、今回紹介した「延納制度」を利用してみてください。
ただし、あくまで臨時的な方法であり、延納した分については利子税がかかるため、余計にお金が出ていってしまいます。
ですので、あらかじめ納税額を早めに把握することが大切です。
余裕のある方は、12月の事業年度が締まる1ヶ月前くらいに利益予測をして、残り1ヶ月で行える無理のない節税を実施できれば、理想的です。
利益予測をしたり、納税額を早めに把握したいけれど、本業になるべく時間を費やしたいという場合は、税理士に相談してみると良いかもしれません。
小池税理士事務所は町田市を拠点としていますが、オンラインにも対応しておりますので、何か相談してみたい事がありましたら、お気軽にお問い合わせください。