創業計画書の書き方(2) ~具体的で現実的な数字を考えましょう!~

はじめに

今回は、創業計画書の書き方(1) ~創業に懸ける熱意が大事です!~の続きで、創業計画書の右半分のページを解説していきます。

左側は文章中心で、何で創業するのか、どんな事業をやるのか等を書きましたが、右側は数字を中心とした資金計画や利益計画という面から、こんな事業をやるんです!というアピールをして頂きます。

特に「必要な資金と調達方法」や「事業の見通し」といった欄は、皆さんかなり頭を悩ませる部分であり、創業計画書の中でかなり大事なポイントでもあります。

数字は苦手だという方もいらっしゃるかもしれませんが、このような計画の作成というのは創業融資を受けるためだけではなく、実際に事業を円滑に進めていくためにも非常に大事です。

それでは早速ひとつひとつ見ていきましょう。

従業員

この欄は、これから雇う予定の従業員、法人の場合は役員の人数も記載します。

さらに従業員の中に家族従業員はいるか、正社員ではなくてパートとして雇用するものはいるかというのも記載して頂きます。

従業員がいないからダメとか、逆に最初から従業員雇うなんてみたいな見方はされません。ですが、一人でやるのか何人かでやるのか、もし従業員がいるならちゃんとその人の給料を払える計画が作れているか等、直接審査のポイントにはならなくても、これから創業する事業をイメージする上で重要な項目とも言えます。

また、以前、創業融資を受けられない!?日本政策金融公庫の創業融資を受けるために大切な事とは? で触れましたが、創業融資を受けるには一定の経験年数が必要ですが、従業員を雇う事でこの業種経験の要件をクリアできる場合もあります。

家族従業員では認められませんが、新たに雇用を創出する企業を応援したいという考えなのか、場合によっては従業員を雇用すると金利を下げてもらえる事もあります。

公庫の審査を受ける時点で雇用していないといけないというわけでもないので、あくまで予定で構いません。

だからといって嘘はダメなので、雇用の予定がある場合に正直に書きましょう。

お借入れの状況

公庫が審査をする際には、個人の信用情報はしっかり確認されます。ここに書かなくても少し調べればバレてしまうので、借入がある場合にはしっかり書きましょう。

むしろここに書かないで後から調べられてバレる方が印象は悪いです。

ここには、事業に関係ない住宅ローンや車のローンも記載して頂きます。

住宅ローンがあると借入額も大きいし、融資してもらえなくなるんじゃないかと思われるかもしれません。ですが、事業の融資と住宅ローンは別物なので心配ありません。また、住宅ローンを受ける際にも金融機関の審査を受けられたかと思います。住宅ローンがあるという事はそういった審査を通過できた人として見られるので、かえって信用度が増すケースもあります。

必要な資金と調達方法

この欄では、何にどれだけお金を使うのか、そしてそのお金はどう調達をするのかを書いて頂きます。これは言い換えると、公庫から融資を受けたお金の使いみちを記載するという事になりますので、非常に大事な項目です。

貸す側からしてみたら、何に使うかよくわからなかったり、たいして必要そうじゃないのにたくさん借りたいという方にはなかなか貸しづらいと思います。反対に、使いみちや目的が明確だと安心して貸す事ができます。ぜひ安心して貸してもらえるように、ここはしっかりと計画を立てて書いていきましょう。

まずは必要な資金(何にいくら使うのか)の欄ですが、こちらは設備資金と運転資金に分かれています。

創業融資において設備資金というのは、事業を始めるために最初にかかる経費というイメージが強いです。運転資金というのは事業を始めてから毎月発生する経費になります。

例えば飲食店を始める場合、お店を借りるために敷金などを払うと思いますが、これは最初に支払うものなので設備資金となります。それから毎月家賃を支払わなければなりませんが、これは毎月発生するので、運転資金となります。

その他にも厨房設備や空調設備などは最初に工事したり購入するので設備資金となり、お店の水道光熱費や働いてくれる従業員さんのお給料などは毎月発生するので運転資金となります。

設備資金と運転資金とでは、返済期間が異なります。通常、設備資金の方が高額になりやすかったり、あとは回収までに時間がかかる事が多いです。なので、設備資金の方が返済期間を長く設定する事ができるのです。

だからと言って、設備資金を多く借りるために、本当は運転資金なのに設備資金に入れるなどといった事はできません。

設備資金については、見積書等の書類を公庫に提出する事になります。どんな物をいくらで買おうと思っているといった書類を出すので、運転資金を設備資金に入れようとしてもすぐにバレてしまいます。

運転資金は通常3~6ヶ月分程度見込むケースが多いです。

毎月発生する経費なので、あまり長いといつまでも売上で賄う事ができない、採算性が低い事業とみなされてしまう事もありますので、長くても6ヶ月程度に抑えた方が良いと思います。

ただしこの期間は業種によっても異なります。飲食業や小売店等、お客様が現金で支払う事が多い事業だと回収が早いので、2~3ヶ月もすれば運転資金を売上で賄えるようになるかもしれません。しかし、介護施設のような事業では介護保険等の国から入る収入が2か月後になってしまいます。そうすると事業を始めてから2ヶ月は収入が入ってこないので、回収はかなり遅く、その分売上で運転資金を賄えるようになるまでの期間が長くなってしまいます。これは介護事業の話だけでなく、建設業でも翌月や翌々月入金といったケースは多いと思います。

こうした運転資金を賄えるようになるまでの期間をシミュレーションしながら、本当に必要な資金を考えてみましょう。

運転資金の中身については、この次に出てくる「事業の見通し」欄で月平均の経費を計算する箇所があります。ここで算出される経費の合計が1ヶ月分の運転資金と考えられるので、必要な資金と事業の見通しはセットで考えましょう。

必要な資金が固まったら、次に右側の調達方法です。

必要な資金の合計額と調達方法の合計額はイコールになるように記載します。

調達方法の一番上には自己資金の欄がありますので、まずはここで自分がいくらこの事業にお金を出せるのか記載してください。

以前他の記事でも解説しましたが、この計画の10分の1は自己資金で賄う必要があります。

調達方法(=必要な資金)の10分の1を自己資金が下回ってしまうと創業融資を受けられなくなってしまう可能性が高いので、注意してください。

また、あくまで10分の1というのは要件で、一般的な目安としては3分の1程度あると良いとされています。それも意識して計画を作ると良いでしょう。

親、兄弟、知人、友人等からの借入については、これらの方からお金を借りて事業を始める場合には記載してください。

十分な自己資金があれば問題ないですが、自己資金があまりないために家族からお金を借りて始めるというケースもあると思います。

親や配偶者の場合には、家族が協力してくれているとか起業に理解を示してくれているとか、ポジティブに捉えられるケースもあります。

ただ、知人や友人になってくると第三者感は否めません。そうなるとある意味金融機関からの借入に近いイメージとなってしまい、審査が厳しくなる事があります。

自己資金の金額は創業に対する熱意とも見られるので、やはり自己資金をなるべく多く出せるように、特にこれから起業を考えている方は、まずはコツコツと自己資金を貯めましょう。

次に日本政策金融公庫からの借入ですが、他の金融機関等からの借入の予定が無ければ、公庫からの借入が調達方法の最後になりますので、合計額と自己資金、親等からの借入との差額が公庫からの借入になります。

例えば必要な資金が1000万円、自己資金が300万円だとしたら、700万円足りません。なので、この700万円を公庫に貸してもらいたいので、この欄には700万円と記載します。

ちなみに、他の金融機関等からの借入に絡めた融資で、協調融資と言われる形をとる事があります。

協調融資とは、融資の希望額が大きい場合等、公庫だけでは満額出せない時に、他の金融機関と連携して一緒に融資をしてくれる形です。この協調融資についてはまた詳しく解説しますが、そのような他の金融機関等からの借入の予定がある場合には、公庫からの借入の下、他の金融機関からの借入欄にも記載しましょう。

事業の見通し

ここでは、売上がいくら上がって経費がいくらかかって、利益がどれだけ残るかといった見通しを月平均で記載して頂きます。

「必要な資金と調達方法」でも少し触れましたが、ここで算出される経費(売上原価も含めます。)の数か月分を必要な資金の運転資金として考えます。

これは少し簿記や会計の話になってしまいますが、公庫から融資を受けると、その後は毎月返済していく事になります。この返済額について、利息は経費に入りますが元金の返済は経費になりません。事業のお金から支払うから経費だろうと思われるかもしれませんが、会計のルール上は扱いが違うのです。ここではどう扱うかというと、利益から返済するイメージをしてみてください。売上が100万円、売上原価を含む経費が80万円だった場合、20万円が利益となります。この手元に残った20万円から、公庫に借入金の返済をするという形になります。

つまり、この事業の見通しでしっかり利益が出せてないと、公庫への返済ができないとみなされてしまいます。そもそも赤字の見通しの事業に融資なんかしてくれませんが、ただ利益が出ているだけでなく、公庫の返済分も含めてしっかり利益を取れているかどうかというのが大事なポイントになります。

とはいえ、創業当初からそこまで利益を出すのはなかなか難しいかと思います。公庫でもそのあたりは理解してくださるので、創業当初の見通しは赤字でも許容範囲です。ただ、1年後又は軌道に乗った頃(最長1年のイメージです。)には、しっかり利益を出せる計画を意識しましょう。

また、個人事業主として始める方は、人件費の書き方に注意が必要です。

これも簿記や税法のお話が絡んでしまうのですが、個人事業主本人の給料は経費になりません。なので、利益から自分の生活費を取る必要が出てきます。個人事業主の場合は、この利益で生活していけるかどうかというのも、重要なポイントになります。

この数字の計画の横には、計算根拠を記載する大きな余白があります。

ただ売上が月に100万円上がりますと言われても、あまりピンときません。そこでこの余白に、例えば飲食店だったらお客さん1人あたりの単価×1日あたりの客数、それに営業日数を掛けて、月の売上がこれだけ上がります、といった計算根拠を書いて頂きます。

建設業であれば、1件あたりいくらで受注して、月に何件工事ができるから、月の売上はこの金額です、というように、なるべく具体的に書いてみましょう。

売上原価や経費についても同様に計算根拠を書いていきます。特に経費はその他という項目もあるので、この「その他」の中にはどんな経費がいくら入っていますという内訳を書いておくと、非常にわかりやすい計画になると思います。

自由記述欄

この欄では、ここまでで書ききれなかった事を追加でアピールしたり、公庫からなにかアドバイスをもらいたい事があれば記載して頂きます。

何もなければ空欄で構いません。

私が創業融資のサポートをしてきたたくさんのお客様の中でも、ここをしっかり記入されたのは数件のお客様だったかと思います。ここだけは空欄でもちゃんと融資を受けられています。

まとめ

今回は創業計画書の書き方について、右半分を解説しました。

特に「必要な資金と調達方法」と「事業の見通し」をメインとしましたが、この2つは創業計画書全体の中でもかなり重要度が高く、そして初めてだとなかなか書きづらい項目だと思います。

実際に書いてみないとなかなかイメージしづらい部分もあると思いますので、うまくできなくてもいいのでまずは書いてみてください。その上でわからないことや相談したい事がございましたら、町田市を拠点とする小池税理士事務所までご相談ください。