【町田市の税理士がズバリ解説!起業・開業時のお役立ち情報④】社会保険料の仕組みとこれまで加入していた健康保険の脱退手続きについて

これまでの記事で、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)は会社と従業員が折半で負担するため、毎月従業員に支払う給与から社会保険料を天引きし、会社負担分と合わせて納付する、ということをご説明させていただきましたが、月の途中入社又は退職した場合の保険料はどうなるのでしょうか?

社会保険料は日割りしない

まず、社会保険料は1か月単位で計算するものなので日割り計算はしません。月の途中で入社した場合は、入社月分から月単位の保険料がかかります。なお、給与から保険料を天引きするタイミングは翌月の給与支払日です。

例1:「毎月末締め、翌15日支払い」の事業所へ4月10日入社の場合

上記の事務所へ入社する場合、まず保険対象月は4月からです。

最初に支払われる給与は4月10日~4月30日分の給与ですが、翌5月15日に支払われるためこのタイミングで1か月分の社会保険料が控除されます。

給与については「当月締め当月支払い、当月締め翌月支払い」など事業所によって異なりますが、どちらの場合でも入社月から保険料が発生し、入社月の翌月支払分から控除開始と覚えておけば間違いありません。

月の途中で退職した場合はどうなる?

社会保険料は「資格喪失月の前月分」までを負担します。ここで注意したいのは、社会保険の資格喪失日とは「退職日の翌日」であるということです。

退職日を資格喪失日としてしまうと、退職日当日に保険証を使用することができなくなるため、退職日の翌日を資格喪失日としております。

例1: 4月30日に従業員が退職した場合

4月末日が退職日の場合は、社会保険の資格喪失日は翌日の5月1日になります。そして、社会保険料は「資格喪失月の前月分までが徴収」であるため、4月分までの社会保険料が発生します。

例2:4月20日に従業員が退職した場合

4月20日に従業員が退職した場合、資格喪失日は4月21日となるため、4月分の社会保険料は発生しません。資格喪失月の前月分は3月なので3月分まで保険料が発生します。

保険料の納付が必要な期間は「被保険者となった月」から「被保険者の資格を喪失した月の前月」つまり「退職日の翌日が属する月の前月」までの分が徴収されます。退職日によって

社会保険料の控除額が変わりますので給与計算の際には注意が必要です。

社会保険に加入した後の手続きは??

法人設立後、社会保険(健康保険と厚生年金)の加入手続きが完了し、新しい健康保険証が手元に届きましたら、これまで加入していた健康保険の脱退手続きが必要になります。

社会保険に加入する前に加入していた健康保険によって手続きが異なりますので

それぞれ説明をしていきたいと思います。

社会保険に加入する前の健康保険が国民健康保険の場合

社会保険に加入したら、国民健康保険を脱退するための届出が必要です。国民健康保険を抜ける手続きは会社では行うことは出来ませんので、社会保険に加入した従業員ご自身で行う必要があります。

届出には、「新しい会社の保険証」または「社会保険の資格取得証明書」が必要です。

これらの書類を持参して、市区町村の役所に提出しましょう。

もし、国民健康保険料を滞納していた場合、脱退手続きを行う際に清算が必要になります。

また、社会保険加入日以降、国民健康保険の被保険者証で医療機関を受診することは出来なくなりますのでお気をつけください。

社会保険に加入する前の健康保険が退職後の健康保険(任意継続制度)の場合

社会保険に加入したら、任意継続の資格喪失手続きを行う必要があります。

「任意継続被保険者資格喪失通知書」に必要事項を記入して、加入していた任意継続の保険者に提出をしてください。こちらの書類を提出する際は、被保険者および被扶養者全員分の保険証と高齢受給者証などを添えて送付する必要があります。

万が一、上記の脱退手続きや喪失の手続きを怠ってしまうと、社会保険に加入したにも関わらず、今までの健康保険料の請求が今後も来ることになります。新しい保険証が手元に届いたら速やかにこれまで加入していた健康保険の脱退・喪失手続きを行うようにしましょう。

ちなみに年金は社会保険の手続きをすると自動的に国民年金から厚生年金に切り替わりますので脱退の手続き等は不要になります。

まとめ

社会保険料の仕組みや計算方法を正しく理解して、給与計算を行う際に支払いもれや徴収もれなどのミスが生じないようにしましょう。従業員さんへの正しい賃金の支払は経営においてとても大切なことです。給与計算など専門家に依頼をご希望の場合はぜひ町田市の小池税理士事務所までご相談ください。