創業融資を受けるなら個人事業主と法人、どっちがいい?

これから創業するにあたり、個人事業主で始めるか法人を設立して始めるか、迷った事はありますか?個人事業主の方が低いコストで始められるのではないか、法人の方が社会的信用が高いのではないかと、どちらにもメリットがあるようで悩ましいと思います。

もし創業融資を受けるなら、個人事業主か法人、どちらが良いかというのも判断材料の一つになるでしょう。 今回はそんな個人事業主と法人の創業融資について解説します。

個人事業主と法人、どっちが融資を受けやすい?

皆さんの中には、なんとなくのイメージで法人の方がしっかりしてそうだから融資も受けやすいんじゃないかと考えられている方もいるかもしれません

結論からお話すると、個人事業主と法人で融資の受けやすさは変わりません。

融資の審査の際に、個人事業か法人かで優劣はないのです。

もっというと、百戦錬磨の金融機関の融資担当者が、「この人は法人で起業するからしっかりしてそうだな」といった判断をするようなことはありません。

それよりも、どんな事業をどんな計画で始めて、ちゃんと返済ができるのか、その事業を継続していけるのかといった事が大事になります。 また、創業融資で大事な事は、自己資金があるか、その事業と同業種の経験があるか、個人の信用情報は問題ないか、この3つが大きなポイントになります。

創業融資を受ける場合の個人事業主と法人の違い

創業融資の受けやすさに個人事業主と法人で違いがないことをお話しましたが、すべての条件がまったく一緒なわけではありません。

考え方が異なるケースもあるので、ここではその違いをいくつかご紹介します。

自己資金

個人事業主は本人の預金口座が自己資金となりますが、法人の場合は基本的には資本金が自己資金として認められます。

共同出資者がいる場合や現物出資により資本金を増やす事で、純粋な自分の預金以外にも自己資金として認められるケースもあります。

ただし、法人であっても代表者の個人口座はチェックされます。

資本金として法人に出資した金額以外にも個人口座に事業用として使えるお金があればそれも自己資金として認められます。

反対に、資本金として出資したお金が、実は他から借りてきたものだったりすると自己資金として認められないケースもあるので、注意しましょう。

個人の信用情報

個人事業主の信用情報は当然、本人のものを見ますが、法人は役員が複数人いる場合、全員の個人情報を確認される場合があります。

例えば、友人と会社を始めるとか、最初は不安だから同業の先輩に役員に入ってもらおうとした場合、その方たちがもし何か金融事故を起こしていたりすると、新しい会社でもまた金融事故を起こすのではないかとか、自分の金融事故を解決するために新しい会社からお金を引っぱろうとしているのはないかと見られる可能性も否定できません。

自分は大丈夫だけど、一緒に起業した役員の信用情報が引っ掛かったというケースは実際に私が創業融資支援をした中でもありましたので、法人を設立する場合には注意しましょう。

番外編 融資で借りたお金は資本金や法人の設立費用に使えない?

法人を設立したいけどあまりお金がないから、先に融資を受けて、借りたお金で設立すればいいのでは?と考える方もいるかもしれません。

しかし、融資の使いみちとして、資本金や法人の設立費用は基本的には認められません。

特に、融資で借りたお金を資本金にする事は違法となります。

返済義務のある借入金を資本金にすることはできません。

設立登記の費用は実質的に不可能ではないですが、そもそも自分の会社を他人のお金で作ろうとしている事で、創業に対する本気度が伝わらないと思われてしまいます。

最低限自己資金で準備しないと、現実的には厳しいでしょう。

まとめ

このように、個人事業主と法人では、どちらを選んでも創業融資を受ける事自体には影響しません。

ただし、ご自身の状況によっては法人の方が良い、または法人にしない方がいいといったケースも出てくるでしょう。

また、取引先が法人としか取引しない場合には選択の余地もないかもしれませんし、創業融資だけで決められる事ではありません。

個人事業主か法人か、どちらで起業するか考えるうえで、一つの材料になれば幸いです。 町田市の小池税理士事務所では、創業融資のサポートはもちろん、個人事業主と法人どちらが良いかといったご相談も承りますので、お気軽にお問い合わせください。