創業融資を受けられない!?日本政策金融公庫の創業融資を受けるために大切な事とは?
創業融資の基本、押さえておくべき3つのポイント
勤めていた会社を辞めて独立しようと考えている方、実際にもう辞めて独立した方の中には、創業融資を受けようかと考えている方もいらっしゃるでしょう。
そういった方からご相談頂く中で、多くの方が「自分なんかが融資受けられるのでしょうか?」という不安を挙げられています。
もちろん、誰でも100%受けられるわけではないので、大丈夫です!と即答する事はできませんが、創業融資を受けるには要件がありますので、その要件をクリアしていない方には、まずその要件をクリアしてからチャレンジしましょうとお伝えしています。
創業融資は一度審査に落ちてしまうと、すぐに再チャレンジというわけにはいきません。融資を受けられなかった原因にもよりますが、6ヶ月~1年ほど経ってから再チャレンジするケースが多いかと思います。
創業期の融資はできるだけ早く受けたいというケースが多いので、長期間置いての再チャレンジというのはなるべく避けたいところです。
そこで今回は、日本政策金融公庫の創業融資について、融資を受けるために何が必要なのかを解説致します。
創業融資には日本政策金融公庫の創業融資と信用保証協会の創業融資がありますが、それぞれ細かい要件は異なります。
それでも、審査のポイントは大きく変わらないので、ここでは日本政策金融公庫を中心に見ていきましょう。
日本政策金融公庫の創業融資を受ける上で大事なポイントは、大きく3つあります。
創業融資において大事な3つのポイント
- 一定の自己資金があるか(ある程度自己資金で賄えるか)
- 創業する業種の経験
- 創業者個人の信用情報
自己資金とは?どれくらいあればいいのか、どこまで認められるか
まず、自己資金があるかどうかというのが大きなポイントになります。
創業融資を受けるためには創業計画を作成するのですが、その計画の資金(事業に使う予定のお金)のうち10分の1は自己資金(自分で貯めたお金)である事が、公庫の創業融資を受ける要件になります。
例えばラーメン屋さんを始めるとしたら、物件の取得や内装、厨房設備の工事等で800万円かかり、仕入や人件費等の運転資金で200万円必要となった場合、創業に必要な資金は1,000万円となるので、少なくともその10分の1である100万円は自分のお金で賄ってください、というものになります。
この自己資金は多ければ多いほど信用度も高まりますし、創業のためにしっかり貯めてきたんだという本気度も理解してもらえるでしょう。
10分の1というのはあくまで要件であり、実際は3分の1程度を自己資金で賄っていると、審査の際の印象が良くなります。
ただし、基本的には自分で貯めたお金でなければなりません。
他の金融機関から借りたお金や、友人・知人から借りたお金では自己資金として認められません。
配偶者やご両親等の近しい方から借りた場合は認められるケースもありますが、自分でコツコツ貯めたお金である事が一番望ましいです。
また、よく言われる事ですが、いわゆるタンス預金は自己資金として認められないケースが多いです。
銀行に預けず自宅で現金を保管しているという方もいらっしゃいますが、そういったお金は本当に自分で貯めてきたお金かどうか、客観的に判断できません。
銀行口座に預けておく事で、コツコツ貯めてきたという証拠を残す事ができるのです。
業種の経験とは?経験がなくても創業融資を受けられる?
次に創業する業種の経験ですが、これもラーメン屋さんで考えてみましょう。これまで20年間建設業の職人として働いてきたけど、職人を辞めてラーメン屋を始めよう!と思い立ったAさんと、10年間ラーメン屋さんで修行して、独立して自分のラーメン屋さんを始めよう!というBさんだったら、どちらのラーメン屋さんが成功しそうでしょうか?
もちろんAさんが絶対に失敗するとは言いませんが、一般的にはBさんの方がうまくいきそうだと感じると思います。
これは年齢や社会経験の年数ではなく、その業界や業種の経験からくるものでしょう。
一般的には創業する事業に関係する仕事を経験した年数が、6年以上あると良いといわれています。
ラーメン屋さんで1年修行しただけでは十分とは言えないかもしれませんが、6年以上の経験があると、一人前というだけでなくもっと広い視野で仕事ができ、事業がうまくいく可能性が高まると判断されるようです。
また、日本政策金融公庫の創業融資では、5年以上の経験があれば自己資金要件を満たすものとされています。つまり、その業種の経験が5年以上あれば、自己資金が計画の10分の1より少なくても融資を受けられる可能性はあります。
もちろん、何度も言うように自己資金はあるに越したことはないです。ただ、もし自己資金が足りなくても、経験でカバーできる可能性があるというのは、心強いですね。。
また、公庫では女性、若者/シニア起業家支援資金という制度があり、35歳未満の若い方の起業を応援しようという向きがあります。しかし、あまりに若い方だと応援したくても業種の経験がなくて融資できないという事態に陥ってしまうので、このような若い方の経験は問わないというケースもあります。
さらに、フランチャイズ事業でも事業経験は問われない事があります。
この場合は、フランチャイズ契約する際に研修やノウハウの提供を受けるため、まったく新たに起業する人とはスタートが違うとみなされるようです。
個人の信用情報とは?債務整理をしていても融資を受けられる?
最後に、個人の信用情報についてお話します。
ご自身のクレジットカードや携帯代、光熱費等は毎月しっかりお支払いされていますか?
もし何か支払いが遅れている場合、創業融資を受けられなくなる可能性が出てしまいます。
こちらは、ちゃんと返済できる人かどうかという、まさに信用に関わるものになります。
例えば携帯代の支払いができていないとか送れていたりすると、携帯代の支払いを毎月ちゃんとできていないのに、公庫の返済が毎月できるとは考えづらいと思われてしまいます。
こういった信用情報は、ある程度ご自身で確認して頂く事ができます。
CICという信用情報機関では、自分の信用情報をインターネットや郵送で開示する事ができます。手数料も500円~1,500円なので、もしもご自身の信用情報が気になる場合には、
融資を申し込む前に確認しておくと良いかもしれません。
また、過去に自己破産などの債務整理をしたんだけど、融資を受けられるか?といったご質問もたまにいただきます。実際に融資を受けられるかどうかは総合的な判断になりますが、債務整理をしているからダメという事はありません。
ただし、債務整理をした履歴というのもCIC等の信用情報機関に記録が残ります。この記録は5年以上経過すると削除されるので、5年以上前に債務整理をした場合には融資の審査に影響しない可能性があります。
反対に、5年以内に債務整理をしている場合には、その記録が残っているため、かなり厳しい審査となる事が予想されます。
まとめ
ここまで3つの大事なポイントについてまとめてきました。
これらは、全部満たしていれば絶対に融資を受けられるというものではありませんし、どれか一つ満たしてないけど融資を受けられたといったケースもあります。
それでも審査の際にはかなり重要視されるポイントなので、一度ご自身で確認してみてください。
ご不明な点やもっと詳しく話を聞きたいという時は、創業融資支援の経験を豊富に持つ小池税理士事務所までご相談ください。