【町田市の税理士が解説!】棚卸資産の付随費用、「3%以内なら経費処理OK」って本当?
商品や原材料を仕入れるとき、単に「購入代価」だけでなく、運搬費や荷造費、保険料などの付随費用が発生することがあります。本来であれば、こうした費用はすべて「棚卸資産の取得価額」に含めて計上するのが原則です。
ただ、実務上これを全て厳密に処理するのはなかなかに大変です。そこでよく使われるのが「3%ルール」というもので、付随費用の合計額が、購入代価のおおむね3%以内のときは、取得価額に含めずに、経費として処理してよいことになっています。
ただし付随費用であれば、どんなものでも経理処理できるというものではないため、活用方法や注意点について解説していきます。
棚卸資産の付随費用とは?
棚卸資産とは、販売を目的として保有する商品や製品、原材料などのことをいいます。
これらを仕入れる際には、購入代価以外にもさまざまな費用がかかります。
例えば、
運搬費 … 仕入先から倉庫までの運送費・送料
荷造費 … 梱包材や荷造り作業に要した費用
保管費 … 長期にわたる保管に要した費用
その他にも色々な付随費用があると思いますが、こうした費用は、原則として棚卸資産の取得価額に含めることになります。
つまり、販売時に売上原価として計上されるため、すぐには費用にならず、その商品が売れたときにはじめて費用として計上することができます。
3%ルールとは?
前述した通り、棚卸資産にかかる付随費用だけを厳密に抜き取って取得原価に含めるというのはなかなかに大変です。そこで、取得価額(仕入代金)のおおむね3%以内の少額な付随費用であれば、経費処理(販売費や一般管理費など)として処理しても差し支えないという扱いが、実務上広く認められています。この「3%ルール」は法律で明記されたものではありませんが、法令解釈通達で国税庁HPにも明記されています。
(国税庁HP:「第1款 購入した棚卸資産」)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/05/05_01_01.htm
例えば、
仕入代金が100万円の商品を購入し、運送料として2万円を支払った場合は、
運送料は仕入代金の2%にあたるため、原則では取得価額に含めますが、
実務上は「全体の3%以内で少額」と判断できるため、運送費として経費処理しても問題ないと考えられます。
逆に、仕入代金100万円に対し運送料が5万円の場合は、仕入代金の5%にあたるため、やや高額といえます。この場合は、取得価額の概ね3%を超えるため棚卸資産の取得価額に含める(仕入に含めて在庫計上する)事となります。
注意しておきたいポイント
3%ルールは便利な考え方ですが、やみくもに使うと税務上のリスクもあります。棚卸資産を取得するために支出した付随費用のすべてに3%ルールが適用されて、費用化できるとは限りません。
経費処理が認められる付随費用は、棚卸資産の取得後に生じた付随費用に限定されていて、法人税基本通達に以下のようなものが挙げられています。
⑴買入事務、検収、整理、選別、手入れ等に要した費用の額
⑵販売所等から販売所等へ移管するために要した運賃、荷造費等の費用の額
⑶特別の時期に販売するなどのため、長期にわたって保管するために要した費用の額
また、次に掲げるような費用の額は、たとえ棚卸資産の取得又は保有に関連して支出するものであっても、経費として処理することができます。
⑴不動産取得税の額
⑵地価税の額
⑶固定資産税及び都市計画税の額
⑷特別土地保有税の額
⑸登録免許税その他登記又は登録のために要する費用の額
⑹借入金の利子の額
したがって、上記に含まれていない運送保険料、購入手数料、関税など購入のために要した費用や消費・販売の用に供するために直接要した費用については、3%ルールの少額基準は適用されず、棚卸資産の取得原価に含める必要があります。
まとめ
棚卸資産の付随費用は原則として取得価額に含める必要がありますが、少額(おおむね3%以内)の場合は経費処理が認められます。
ただし、すべての費用に適用できるわけではなく、通達に定められた範囲に限られるため、内容を確認した上で慎重に判断することが重要です。
何か分からないことや自分では判断できない事がございましたら、町田市を拠点とする小池税理士事務所までご相談ください。


