【町田市の税理士が解説!】令和7年度税制改正大綱の概要と改正ポイント

令和7年度税制改正大綱が令和6年12月27日に閣議決定しました。

税制は、経済社会の変化に適宜に対応できるよう、毎年、その仕組みが見直されます。税制を毎年改正する目的は、企業や個人の投資や消費を促進し、経済全体の活性化を図ること、また税負担の公正性の確保などの基本理念を踏まえながら、経済や社会のニーズに応じてその効果を最大化することを目的としております。

今回の記事では主要な改正項目について簡潔にお伝えしていきます。

法人課税

法人税の軽減税率の特例延長

中小企業者等の法人税率について、年800万円以下の所得金額に対する税率は、19%から15%に軽減されているところですが、その適用期限が2年間延長されます。ただし、所得金額が年10億円を超える事業年度については、所得金額のうち年800万円以下の部分に適用される税率が現行の15%から17%へ引き上げられます。

防衛特別法人税の創設

日本の防衛力を強化するため、大企業を対象にして法人税額の4%を上乗せする「防衛特別法人税」が新たに創設されます。 ただし、中小企業に対しては、500万円以下の法人税額には適用されません。適用は、令和8年4月1日以降に開始する事業年度からとなります。

オペレーティング・リース取引の損金算入時期を明確化

リース契約に基づき法人が支払う金額のうち、その事業年度において「債務が確定した部分」の金額を、その確定日の属する事業年度の損金として計上することができます。ただし、1.売上原価や工事原価に算入すべき費用、2.固定資産取得価額に含めるべき費用、3.繰延資産となる費用、は除外されます。

所有権移転外リースの減価償却方法の見直し

令和9年4月1日以降に締結される所有権移転外リース取引において、リース資産の減価償却方法としてリース期間定額法を採る場合、取得価額に含まれる残価保証額を控除せず、リース期間終了時点で備忘価額(1円など)まで償却できます。

 なお、令和9年3月31日までに締結された契約で、取得価額に残価保証額が含まれるリース資産は、令和7年4月1日以後開始事業年度において、新しいリース期間定額法による償却方法が認められます。

個人所得課税

所得税の基礎控除額の引き上げ

合計所得金額が2,350万円以下の個人に対して、所得税の基礎控除額が48万円から58万円へと10万円引き上げられます。本改正は、 令和7年分以降の所得税から適用されます。

給与所得控除の見直し

最低控除額を現行の55万円から65万円へと引き上げます。令和7年分以降の所得税から適用されます。なお、地方税における給与所得控除についても、最低保障額が現行の55万円から65万円へと引き上げられます。

特定親族特別控除の新設

生計を一にする19~22歳の子を扶養する親らの税負担を軽くする特定扶養控除が見直され、控除の対象となる子の年収要件が現行の103万円から150万円へと引き上げられます。

 150万円を超えた途端に扶養対象外となることを避けるため、新たに「特定親族特別控除」が創設され、150万円超から段階的に控除額を減らし、188万円超で控除がなくなります。なお、地方税においても、特定親族特別控除が新設されます。

生命保険料控除

新生命保険料に係る生命保険料控除について、扶養親族として23歳未満の子どもがいる場合、居住者が受けられる生命保険料控除の控除額の計算方法が変わります。旧生命保険料および23歳未満の扶養親族がいる場合に適用される新生命保険料を支払った場合、生命保険料控除の適用限度額が現行の4万円から6万円へと引き上げられます。

 なお、生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除の合計適用限度額は、現行と変わらず12万円に据置となります。

NISA(少額投資非課税制度)の改正

累積投資契約(つみたて投資枠)の対象となる上場株式投資信託に関して、取得対価の上限が引き上げられ、現行で1口当たり1,000円以下とされている上場株式投資信託の取得対価要件が、1万円以下に引き上げられます。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

個人型確定拠出年金の拠出限度額が23,000円/月から62,000円/月と大幅に増額となっている等、拠出限度額の増加により個人投資がより活発となることが予想されます。

(出所:厚生労働省「令和7年度 税制改正の概要(厚生労働省関係)」)

まとめ

令和7年度税制改正では「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行に対応し、またそれを更に発展させていくための税制改正が最重要事項となっています。

ここ最近の税制改正で優遇されているのは賃上げ・投資に積極的で、成長意欲の高い企業です。そのため、中小企業や個人事業主においても、引き続き賃上げ・投資・成長の3つの観点を意識して、今後の会社経営を考えることが望ましいでしょう。

お困りごとがございましたら町田市を拠点とする小池税理士事務所までお気軽にお問合せください。