【町田市の税理士が解説!】消費税ってどんな税金?~消費税の仕組みや計算方法について

消費税とは、商品やサービスを購入した際に消費者が負担する税金であり、実際の納税義務者は事業者です。日本では1989年に導入され、国の財源確保に重要な役割を果たしてきました。現在、標準税率は10%ですが、軽減税率制度によって一部の商品に対して8%が適用されています。消費税は「間接税」と呼ばれ、消費者が支払った税金を納税義務者が国に納める仕組みです。

ここでは、消費税の仕組みや計算方法等について説明していきたいと思います。

消費税の納税義務者

消費税の納税義務者とは、商品やサービスの販売・提供などにより、消費税を国に納める責任を負う者を指します。日本では、原則として国内において事業として資産の譲渡やサービスの提供を行う事業者が納税義務者になります。個人事業主、法人を問わず、基準期間(個人事業主の場合は2年前、法人の場合は通常は2期前)の課税売上高が1,000万円を超える場合、原則として消費税の納税義務が発生します。

一方、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者は「免税事業者」となり、消費税の納税義務はありません。ただし、資本金が1,000万円以上で新設された法人や、一定の特定期間における課税売上高・給与支払額に応じて納税義務が生じる場合もあります。

また、インボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入により、納税義務者として登録しなければ取引先が仕入税額控除を受けられないため、免税事業者でも自発的に納税義務者を選択するケースが増えています。 まとめると、消費税の納税義務者は、一定以上の売上を有する事業者であり、税負担を適切に転嫁し、国に消費税を納付する役割を担っています。経済取引の透明性向上のため、納税義務者には適正な申告・納付が求められています。

納税義務者の消費税納付の仕組み

納税義務者は、売上時に受け取った消費税額(売上消費税)から、仕入れや各種経費で支払った消費税額(仕入消費税)を差し引いて、国に納付します。これを「原則課税方式」と呼びます。

納付税額=売上消費税額-仕入消費税額によって、消費税を計算することになります。

◆原則課税方式の計算例(標準税率適用)

・売上(税抜):3,000,000円

・仕入(税抜):1,200,000円

・売上消費税額=3,000,000×10%=300,000円

・仕入消費税額=1,200,000×10%=120,000円

→納付税額=300,000-120,000=180,000円

この180,000円を納税義務者が国に納めることになります。

また、売上高が一定規模以下の中小企業は、仕入税額控除を簡単に計算できる「簡易課税制度」を選択できます。この場合、売上消費税額に「みなし仕入率」を適用して納付税額を算出します。業種ごとにみなし仕入率は異なり、たとえば卸売業なら90%が適用されます。

簡易課税を利用することで、事務負担を軽減できる反面、実際に支払った仕入消費税額よりも不利になる場合もあるため、慎重な判断が必要です。

◆簡易課税制度の計算例(標準税率適用、卸売業の場合)

・売上(税抜):3,000,000円

・売上消費税額=3,000,000×10%=300,000円

・仕入消費税額=300,000円(売上消費税額)×90%=270,000円

 →納付税額=300,000-270,000=30,000円

この30,000円を納税義務者が国に納めることになります。

◆業種ごとのみなし仕入率

業種みなし仕入率
第1種:卸売業90%
第2種:小売業80%
第3種:製造業・建設業など70%
第4種:飲食店業など60%
第5種:サービス業など50%
第6種:不動産業40%

最後に、「消費税の2割特例」について説明します。

「消費税の2割特例」というのは、インボイス制度が始まったことに関連して作られた新しい特例です。特に、小規模事業者向けの救済措置として設けられました。

簡単に言うと、売上消費税額の2割だけを納めればよいという制度です。

通常、インボイス制度のもとでは、免税事業者だった小規模事業者も納税義務者にならないと取引先との関係で不利になったりするので、納税義務者になる選択をする人が増えます。しかし、そうなると原則的には「売上消費税額-仕入消費税額=納税額」と、煩雑な計算をして、しかも納税額もそれなりに大きくなる可能性があります。

そこでこの特例では、

・2023年10月から始まったインボイス制度対応で納税義務者になった小規模事業者(2年前の売上が1,000万円以下などの条件あり)

・2023年10月1日~2026年9月30日までの日の属する課税期間

・納める消費税を、売上消費税額の2割だけにしてOK

という優遇を受けられます。

◆2割特例の計算例(標準税率適用)

・売上(税抜):3,000,000円

・売上消費税額=3,000,000×10%=300,000円

・仕入消費税額=300,000円(売上消費税額)×80%=240,000円

 →納付税額=300,000-240,000=60,000円(売上消費税額の2割分)

この60,000円を納税義務者が国に納めることになります。

インボイス制度と消費税計算

2023年10月から「インボイス制度」が導入され、消費税の仕入控除を受けるためには、適格請求書(インボイス)の保存が必要となりました。

インボイスには次の項目が記載されている必要があります。

・適格請求書発行事業者の登録番号

・取引年月日

・取引内容

・対価の額と適用税率ごとの区分

・消費税額

これにより、取引ごとに適用税率(10%・8%)を明確に区分し、

消費税額を正確に把握することが求められます。

特に、複数税率が混在する取引では、それぞれの税率ごとに消費税額を集計する必要があるため、実務上の負担が増加しています。

まとめ

消費税は、商品やサービスの取引において不可欠な税金です。単純に「本体価格に税率を掛ける」という基本から、軽減税率対応、売上と仕入・各種経費の消費税差額による納付額算出、インボイス制度対応まで、多岐にわたる知識が求められます。

特に近年は、軽減税率やインボイス制度の導入により、消費税に関する事務負担が大きくなっています。正しい知識と的確な実務対応が、企業経営において非常に重要な要素となっています。

日常生活の支払いでも、ビジネス取引でも、消費税の計算方法を理解しておくことは、 確実に役立つスキルといえるでしょう。