補助金と助成金の違いってなに?

起業時の資金調達の方法として、補助金、助成金を活用するという方法があります。補助金、助成金は原則返済不要なので、うまく活用すれば強力な資金源となります。YouTubeやセミナー等でもたくさんの情報がありますが、実際に活用しようと思っても、どのような場合に申請ができるのかわからないと折角の機会を逃してしまうかもしれません。そこでこの記事では、補助金・助成金の違いやそれぞれの特徴について解説をしていきます。
まずは、補助金と助成金の違いについて簡単に表にまとめてみました。

目的・管轄の違い

補助金の主な管轄は、経済産業省や中小企業庁で、助成金の主な管轄は厚生労働省です。内容に関してもメジャーな補助金であるものづくり補助金やIT導入補助金など国が実施するものの他に、東京都や町田市独自の補助金があり、新規事業の支援や地域振興、革新的なサービスを展開するための設備の導入費用の補助、生産性向上、IT化、多角化等、事業の促進などを目的としているのに対して、助成金は正社員の雇用や女性・高齢者の就業促進など雇用に関する課題や労働環境の改善に取り組む会社に対して一定額を助成する制度になります。

審査の有無

補助金は採択件数や金額があらかじめ決まっているものが多いため、かなり倍率が高い傾向があります。申請が50社に対して、採択件数が20社であれば、30社は審査で落ちてしまうことになります。提出書類でその事業の必要性や妥当性をアピールできないと採択には至らないため、補助金の申請に関しては提出書類の内容が極めて重要であるといえるでしょう。一方の助成金は受給要件を満たしている事業者は原則受給することが可能です。ただし、勤怠管理や雇用契約が適切に行われ、労働環境がしっかりと整っており、労働条件通知書や労働者名簿、出勤簿、賃金台帳等が適切に保管されていることが必須となりますので普段から整備をしておくことが重要です。

もらえる金額

補助金も助成金も、国や地方公共団体など公的な資金から出されるものなので、誰でももらえるわけではなく、申請や審査が必要になり、要件に満たないものは受給することができません。給付額を比較すると、補助金の給付額は補助率が決められていて、使った経費に対して決められた割合が戻ってきます。例えば、補助率が3/4の場合、200万円使った経費に対して150万円が戻ってきます。一方、助成金はある条件を満たすと50万円というように、金額が決まっているものがほとんどです。

公募期間の違い

補助金は、一定期間のみ公募されることが多く、公募期間が短い傾向にあります。大体数週間から1か月程度です。例えば小規模事業者持続化補助金では、補助金の締め切り前に、商工会議所や商工会に書類を提出して所定の様式をもらう必要があります。補助金によって申請期間も対応も異なるため、事前確認が必要です。一方の助成金は通年で公募されているものが多いのが特徴です。基本的には予算がなくなるまでは応募できますが、予算がなくなると突然受付が終了になることもあります。受給しやすい助成金は応募が殺到するので、早期に正しい情報を収集して、早めに応募するのがポイントです。

補助金・助成金を活用するうえでの注意点

補助金・助成金はいずれも、事業実施後に支給される「精算払い(後払い)」となります。補助金・助成金の申請をして支給が決定された後、自分たちで資金を用意して事業を実施し、後日費用の一部が支給されることになります。また補助金・助成金ともに、申請してから実際にお金が支給されるまでにかなりの時間がかかります。補助金についての全体の流れは、申請→審査→交付決定→事業実施→事業完了→完了報告→入金となり申請してから入金までは1年以上先になることが多いです。助成金についての全体の流れは、実施計画の申請→計画の実施→支給申請→受給となり、助成金の種類にもよりますが申請から受給まで6~8カ月程度かかります。また人気の助成金である「キャリアアップ助成金の正社員コース」では、対象となる従業員を雇入れてから助成金が支給されるまで、最低でも1年6カ月ほどの時間を要します。補助金や助成金が支給されるまでの資金を自己資金で補えるかどうか、しっかりと資金計画を立てて、場合によっては借入なども検討すべきでしょう。

また、補助金・助成金ともに法令違反や不正受給をすると処分の対象となります。補助金の場合、もし法令違反が発覚すると、交付後であっても決定取り消しや補助金の返還求められ、悪質とみなされた場合は刑事告訴や逮捕に至ることもあります。助成金はそもそも労働関係の法令を遵守していることが前提となるため、過去3年以内に不正受給していたり、保険料を滞納していたり、労働関連法令に違反していると助成金を受給することができません。

補助金・助成金は受給した後も、正しく使用されているかチェックを受けることがあり、会計検査院などの検査が入る可能性もあるため、正確な事務処理を行い、資料や帳票類は5年間の保存が必須となります。

まとめ

補助金・助成金はうまく活用することで新たな事業への取り組みにかかる費用が大幅に軽減できたり、従業員の雇用を安定させる効果が期待できます。情報をしっかりと集めて上手に活用しましょう。施策に関する情報をチェックし忘れることがある方は、施策情報を配信するメールマガジンに登録しておくことをお勧めします。中小企業が利用できる補助金等の公的な施策に関する情報を収集したい場合には、「ミラサポメールマガジン」、「e-中小企業ネットマガジン」、「商店街・中心市街地活性化メールマガジン」などに登録しておくと良いでしょう。

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なお、補助金や助成金が気になる方は専門家に相談することも検討するといいでしょう。自社で申請しようと思うと、事業計画を作成したり、必要な帳票を準備したり事務処理にかなりの時間を要します。この申請の複雑さに申請をあきらめてしまう方が多いのが現状です。専門家に相談することにより、目的に合った制度を提案してもらえる可能性があるばかりでなく、効率的に申請できるというメリットもありますので、依頼することも検討してみてはいかがでしょうか。