賢く節税して資金繰りに余裕を持たせよう!~個人事業主のおすすめ節税方法5選~

そもそも節税とは?

まずそもそも節税ってなに?という方もいると思います。

特に混同しがちなのが、「節税」と「脱税」。この二つの言葉は似ていますが、意味は大きく違ってきます。

まず「脱税」とは、わざと売上を除外したり、架空の経費を計上することによって、所得を少なく見せ、支払う税金の額を少なくする行為のことをいいます。もちろん違法ですので、発覚した場合は、重いペナルティが発生し、場合によって刑事罰を科されることもあります。

これに対し、今回紹介する「節税」は、法律に違反することなく、税法の範囲内で所得を圧縮したり、控除を上手く利用して、支払う税金の額を少なくすることです。

なので、「節税」に関しては、納税者の権利であり、むしろ余分な税金を抑えることで、資金繰りに余裕を持たせることになるので、積極的に活用すべきものだといえます。

個人事業主の節税方法5選

節税と一口に言っても、その種類は多岐に渡ります。その中身を理解した方が、ご自身の状況にあった節税方法を選択できると思いますので、まずは所得税の計算の仕組をご説明します。

 (計算の仕組が分かっているという方は、ここはスキップして構いません。)

【所得税の計算方法】

  1. 収入-経費=所得金額
  2. (所得金額-所得控除)×所得税率=所得税
  3. 所得税-税額控除=申告納付額

上記の図のようなイメージで納付する税金の額を計算していきます。

ここで注目して頂きたいのが、赤字の「経費」「所得控除」「税金控除」です。

ここを大きくすれば、最終的に支払う税金の額を減らすことができます。

これが「節税」になります。

ですので、これから紹介する方法がどこの部分に該当するのかをイメージしながら、読んで頂くとより理解が深まると思います。

※所得税率が気になる方は、国税庁HPを添付しておきますので、ご参照ください。

(国税庁:所得税の税率)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

①節税の第一歩「青色申告」

まずは節税の第一歩である「青色申告」から始めましょう。

確定申告には、「白色申告」と「青色申告」の二つがあります。

以前は、「白色申告」は帳簿づけと書類の保存義務がなかったので、メリットはあったのですが、現在はそれも改正されたため、「青色申告」の方が断然おすすめです。

また、よく「白色申告」の方が記帳が簡単なため、初心者におすすめといった話も耳にしますが、簿記の知識がなくても記帳ができる会計ソフト(freeeやマネーフォワード等)もありますので、簿記初心者の方でも「青色申告」で問題ないと思います。

「青色申告」の具体的なメリットは、以下のものが挙げられます。

◇最大65万円の所得控除を受けることが出来る。

◇家族への給料を経費に出来る。

◇赤字を三年間、次年度以降に繰り越すことが出来る。

◇30万円未満の固定資産を一括で経費に出来る。

「青色申告」についての詳しい内容について知りたい方は、以下の関連記事をご参照ください。
【個人事業主必見!】青色申告にするとこんなにお得!?~青色申告と白色申告の違い~

②経費計上の見直し

個人事業主の場合は、上手に経費を計上していくことで所得金額を減らすことができます。

経費計上は、もちろん今までもしていたと思いますが、意外と計上し忘れているものがあったりもします。

例えば、自宅で仕事をしている場合は家賃や光熱費などを経費計上することが可能になります。ただし、全額ではなく、事業とプライベートの使用割合による按分が必要になります。

また、事業でも使っている車があれば、ガソリン代はもちろんのこと、自動車税も経費に計上することができます。(事業とプライベートの使用割合による按分が必要になります。)

これ以外にも、事業税や消費税の納付額(税込経理の場合)なども経費計上できます。

ただし、所得税や住民税、源泉所得税は経費計上できませんので、注意して下さい。

どんなものが経費に該当するかは業種等によってケースバイケースになるものもあるので、不安な場合は税務署か税理士に相談してみて下さい。

③中小企業倒産防止共済制度の加入

中小企業倒産防止共済制度とは、中小企業が連鎖倒産することを防止するための共済制度で、取引先の倒産によって売掛金の回収が困難になった場合に、無利子・無担保での貸付を行ってくれます。

掛金の上限は月5千円~20万円まで選択することができ、上限800万円まで積立てることが可能で支払った掛金を経費に計上することができるので、その分税負担を下げることができます。

ただし、解約したときの掛金の戻り(解約手当金)は、課税対象になるため、注意が必要です。

ですので、黒字のときに加入して、赤字の時に解約をするというのが一般的な方法になります。

④小規模企業共済への加入

小規模企業共済は、中小企業倒産防止共済制度と同じく国の機関である独立行政法人中小企業基盤整備機構によって運営されていて、「経営者の退職金制度」と言われています。

通常だと、個人事業主の方に退職金制度はありませんが、小規模企業共済へ加入することで、将来の老後資金を積み立てながら、支払った金額をすべて所得控除にすることができる制度になります。

掛金は、月1千円~7万円まで選択することができ、経営難等で支払えない時は一時的に支払いを止めることも可能です。 共済金を受け取るときは、退職所得として受け取ることが可能なので、事業所得と比べると税負担が少なく済む点もおすすめポイントです。

⑤個人型確定拠出年金(iDeCo)

老後の資産形成の方法として最近よく耳にするiDeCoですが、節税方法としてもとても有用です。個人事業主の場合、月5千円~6.8万円まで積立てることができ、全額を所得控除として差し引くことができます。

また通常ですと、運用益には税金がかかりますが、iDeCoは非課税です。更には、受取時も一定額までは税制優遇を受けられるので、老後の資金形成をしながら節税もできるお得な制度といえるでしょう。

ただし、商品によっては元本割れを起こす可能性もあるので、注意が必要です。

おすすめできない節税方法2選

①経費の過大計上

これまで「経費」の計上を上手に活用することで、賢く節税ができると説明してきました。

ただ、「経費を計上すればするほど税金を減らすことができる。」という言葉だけが先走り、

本来の節税の目的である「手元に資金を出来るだけ残す」ことを忘れてしまうケースがよく見受けられます。

今年は利益がたくさん出そうだから、12月のうちに色々買ってしまおうと考えているのであれば、一度考え直してみることをおすすめします。

節税のために、経費を増やすことは手元の資金を減らす事になるので本末転倒です。

②短期前払費用の特例

短期前払費用の特例とは、本来毎月支払っていくような経費(家賃やなにかのサービス利用料金)を前払いしたものに関しては、支払った事業年度に一括で経費計上しても良いという特例になります。

これを活用した初年度は2年分の経費を計上できるため、有用な節税方法としてよく取り上げられています。ただこれは、翌年経費にするものを前倒して計上していることになり、そのあとも継続してこの処理を続ける必要があり、次年度以降は通常通り1年分の経費計上になります。 節税効果としては、適用した初年度だけになり、1年分の経費を一括で支払う必要があるので、資金繰りを圧迫する可能性があるため、注意が必要です。

まとめ

個人事業主におすすめの節税方法をご紹介しました。

上手く節税をすることで、手元に資金を残すことができ、より事業のほうにお金を使うことが出来ると思います。

ただし、節税を意識するあまり、逆に資金繰りに悪影響を及ぼすこともありますので、今の自分に本当に合っているか確認してみて下さい。

詳しい内容や自分に合った節税方法を相談したいという方は、お気軽に小池税理士事務所までお問い合わせください。