【個人事業主必見!】青色申告にするとこんなにお得!?~青色申告と白色申告の違い~
青色申告と白色申告の違い
個人事業主の方が、確定申告をする際には「白色申告」と「青色申告」のどちらかで申告をすることになります。
これはただの色の違いではなく、支払う税金の額を大きく左右するものです。
では、この2つにどんな違いがあるのでしょうか。
白色申告とは?
「白色申告」は、年間の収入や所得の種類に関係なく、誰でも選ぶことのできる申告方法で、単式簿記によって記帳を行います。
最初にも説明しましたが、以前までは基本的に記帳義務がなく、事務的負担が少ないことがメリットでした。今でも「青色申告」と比べると単式簿記による帳簿で済むので、事務的負担は少なくなります。
特に届出の必要はないので、何もしなければ自動的に「白色申告」になります。
青色申告とは?
一言で言えば、「白色申告」よりも税金を減らすことができる申告方法です。
具体的な申告方法としては、「複式簿記」による帳簿が必要になります。
また、申告の際には貸借対照表と損益計算書の提出が必要となるので、今まで会計ソフトなどを使わず、自分で行っている場合は、ハードルが少し高いかもしれません。
しかも誰でも「青色申告」が出来るわけではないので注意が必要です。(次の章で詳しく解説します。)
これだけ言うと、デメリットの方が大きく感じるかもしれません。
たしかに「青色申告」は手間等のデメリットはありますが、それ以上のメリットが多くあるのが特徴です。
「青色申告」を行うためには?
「青色申告」を行うためには2つの条件を満たしていることが必要になります。
所得の種類が「事業所得」「不動産所得」「山林所得」
「青色申告」の対象となる所得は、サービス業・小売業・製造業・農業などといったような事業を行うことによって生じた所得や不動産を貸し出すことで生じる所得に限定され、これらの所得について申告する場合に「青色申告」による申告が可能になります。
期限内の「所得税の青色申告承認申請書」の提出
もう一つの条件が事前に税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出することです。
そうすることで、青色申告事業者になり、「青色申告」を行うことが可能になります。
ただし、ここで注意点なのが、「所得税の青色申告承認申請書」の提出期限は、青色申告を適用しようとする年の3月15日(図1)までになります。1日でも過ぎるとその年の確定申告は「白色申告」になってしまうので、注意してください。
(新規開業をした場合(図2)は、事業開始日から2カ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を提出すれば、青色申告事業者になることができます。) ※1 青色申告を適用しようとする年の3月15日(白色申告から青色申告に変える場合)
図1 青色申告を適用しようとする年の3月15日(白色申告から青色申告に変える場合)
図2 新規開業をした場合
おさらいすると、
・所得の種類が「事業所得」「不動産所得」「山林所得」であること
・期限内に「所得税の青色申告承認申請書」を提出していること
以上の2つを満たしていれば、「青色申告」で確定申告をすることができます。
「青色申告」のメリット
最大65万円控除を受けることが出来る
青色申告特別控除という最大65万円の特別控除を受けることが出来るようになります。
つまり、利益から65万円を引くことができるため、支払う税金の額を減らすことが出来ます。
「青色申告」を行うことで、65万円の経費計上が出来ると考えれば、コストパフォーマンスは決して低くないと思います。
ただし、65万円の特別控除を受けるためには、不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいること、複式簿記による帳簿の作成、e-TAXの利用が条件です。
家族への給与を経費に出来る
事業を家族に手伝ってもらう場合は、家族に給与を支払いたいなと思う方もいると思います。
しかし、「白色申告」の場合は、家族への給与は原則経費にすることは出来ません。
一応、専従者控除という制度もありますが、その金額に上限が設けられています。(配偶者は86万円、親族は一人当たり50万円)
これが「青色申告」の場合、「青色専従者給与に関する届出」を税務署に提出することで、実際に家族に支払った給料を経費にすることができます。
家族に事業を手伝ってもらう方は、ぜひ利用してみてください。
赤字を3年間、次年度以降に繰り越すことが出来る
事業を営んでいれば、状況によって赤字の年が出てくることが当然あると思います。
「青色申告」では、この赤字を次年度以降3年間繰り越すことが出来ます。
例えば、前期100万円の赤字が生じていて、今期は逆に300万円の黒字になったとしましょう。この場合、前期の赤字100万円を今期の黒字300万円と相殺して、今期の所得を200万円として計算出来ます。その結果、本来300万円に税金がかかる所が、「青色申告」にすることで、200万円で済むので、支払う税金が少なく済むという仕組みです。
30万円未満の資産を一括で経費に出来る
本来10万円以上の資産は、減価償却といって、資産を買った年には一括で経費にならず、数年に分けて経費計上されていきます。
これが「青色申告」にすることで、30万円未満であれば、その年に一括で経費にすることが出来ます。
これにより、本来数年に分けて計上される経費が一括で計上されることで、その年に支払う税金を減らすことが出来るので、有用な節税方法になります。
まとめ
事業を営んでいく上で、税金は切っても切り離せない存在です。
だからこそ色々な制度を上手く利用し、賢く節税をして、より本業にお金と時間を費やせるようにしていきたいですよね。
今回は、その1つの方法として「青色申告」をご紹介させていただきました。
申請書を提出したり、帳簿のつけ方等の処理が少し複雑になりますが、ぜひ「青色申告」を上手く利用してみてください。 なにかご不明な点があったり、自分でやっていて不安なことがあれば、お気軽に小池税理士事務所までご相談ください。