【町田市の税理士が解説!】「少額減価償却資産の特例」がパワーアップ!40万円未満の資産が即時損金に!?

中小企業の経営者にとって、毎年の決算対策や設備投資の計画において重要な役割を果たしてきたのが「少額減価償却資産の特例」です。この制度は、30万円未満のPCや備品などを購入した際、一括で経費(損金)に計上できるもので、節税と事務負担の軽減を同時に実現できる有効な手段として広く活用されています。

しかし、昨今の物価高騰により、以前は30万円で収まっていたものが今では30万円を超えてしまう事例が増えてきています。こういった社会情勢の変化を反映し、令和8年度税制改正大綱において、この上限額を「30万円未満」から「40万円未満」に引き上げるという方針が発表されました。本記事では、この拡充された特例の内容と、経営者が押さえておくべき実務上の注意点について詳しく解説します。

「少額減価償却資産の特例」とは?

通常10万円以上の資産を購入した場合、それは「固定資産」として計上され、その耐用年数に応じて数年間にわたって減価償却していくのが原則的なルールです。ただし一定の要件を満たし、「少額減価償却資産の特例」を利用することで、購入したその期に一括で経費に計上することが可能になります。

原則的な処理(法定耐用年数による償却)

たとえば、36万円のPCを購入し、その耐用年数が5年だった場合、年間に経費として計上できるのは原則として約7.2万円ずつとなります。残りの金額は翌年以降に繰り越されることになります。

少額減価償却資産の特例(一括償却)

 しかし、中小企業者に該当し、一定の要件を満たせば、本来であれば数年かかる費用化を「購入したその期」にまとめて行うことが可能になります。この特例を利用することで、利益が出ている期に戦略的な設備投資を行い、適切に納税額を調整することが可能になります。

(参照:国税庁HP

「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5408.htm

令和8年度改正で何が変わるのか?

今回の改正の要点は、「40万円までの上限額の引き上げ」です。これが実務にどのような影響を与えるのか、具体的に見ていきましょう。

~判定基準が「30万円未満」から「40万円未満」に~

 これまでは、29万8千円なら一括経費にできますが、30万1千円なら数年かけて償却しなければなりませんでした。ただ今回この枠が40万円までに拡大されることで、その期に一括で費用計上できるようになり、よりこの特例を使いやすくなるかと思います。

特に、昨今の物価上昇の影響で「必要不可欠な機材が30万円を超えてしまった」という悩みを抱える経営者にとって、この10万円の枠の拡大は非常に大きな意味を持ちます。

実務上の注意点

非常に有用な改正ですが、いくつか注意点もあります。

➀「税込」か「税抜」か?経理方式による判定の違い

 経理方法を「税込」か「税抜」のどちらを採用しているかによって、判定基準である40万円の判定が異なってきます。

 例えば、39万8,000円(税抜)のPCの場合

・税抜経理の会社

 39万8千円(税抜)の備品は、税込で43万7,800円であっても、40万円未満と判定され、特例の対象となります。

・税込経理の会社

 税込43万7,800円のため、特例の対象外となります。

つまり、税抜経理を採用する方が消費税分だけ税込経理よりも対象範囲が大きくなります。

②年間合計300万円の枠は変わらない

  個別の資産上限は40万円に引き上げられますが、1事業年度あたりに合計できる上限額(現行300万円)については、現時点では維持される見込みです。一度に多くのPCや備品を買い替える際などは、合計額がこの「300万円の限度」を超えないよう、計画を立てる必要があります。

③償却資産税の申告の有無

 税務調査等でも指摘されやすいのが、地方税である「償却資産税」との関係です。

法人税や所得税においては「即時償却」して全額経費にできますが、償却資産税においては、この特例を適用した資産も申告の対象となるのが原則です。

 ただし、10万円未満の「少額減価償却資産」や、20万円未満の「一括償却資産」として処理した場合は償却資産税の対象外となります。

④あえて特例を使わない選択肢も

「40万円未満であれば、何でも即時償却すれば良い」というわけではありません。

たとえば、今期の業績が思わしくなく、利益が少ない状況であれば、あえて即時償却を選ばずに通常の減価償却を行うことで、来期以降の経費として残しておくという選択肢もあります。

 ただ、成長段階にある企業にとっては、「資金の早期回収」が非常に重要になります。40万円の投資を即座に全額損金化することで、その分の法人税の支払いを抑え、手元に残った資金を次の投資や運転資金に充てることができます。これが、本制度の最大の魅力と言えるでしょう。

まとめ

令和8年度税制改正による「少額減価償却資産の特例」の40万円への拡充は、中小企業にとって非常に心強い追い風となります。ただ、制度の内容が手厚くなるということは、それだけ「経営における選択肢が増える」ということです。どの資産をどのタイミングで購入し、どのような会計処理を行うのが最も貴社にとって望ましいのか。決算の間際になって慌てるのではなく、早い段階から中長期的な計画を立てることが重要です。

 具体的な導入計画や、個別の資産がこの特例の対象になるかどうかの判断については、町田市を拠点としている小池税理士事務所までお問い合わせください。それぞれの経営状況に合わせた最適な計画をご提案いたします。