創業融資「計画書の数字」の立て直し術~審査に落ちる前に見直すべきポイントとは ~
日本政策金融公庫の創業融資や、金融機関との事前相談で
「数字が合っていませんね」
「この計画だと厳しいです」
と言われてしまい、どう直せばいいのか分からなくなる方は非常に多いです。
実は、創業融資で否決・保留になる理由の多くは、事業内容そのものではなく「数字の作り方」にあります。
本記事では、「数字が合わない」と言われた時に、どこをどう立て直せばよいのかを、実務目線で解説します。
「数字が合わない」とはどういう意味か?
まず理解しておきたいのは、金融機関が言う「数字が合わない」は、計算ミスを指しているわけではない、という点です。
主に次のような意味で使われます。
- 売上の根拠が弱い
- 経費が現実とかけ離れている
- 利益が出るまでの過程が見えない
- 資金繰りが途中で破綻している
- 生活費を考慮していない
つまり、「この計画では返済できるイメージが持てない」というサインです。
売上計画が“願望ベース”になっていないか?
最も多い原因が、売上の作り方が感覚的になっているケースです。
よくある例:
- 「月商300万円を目指します」
- 「1年目から黒字化できます」
- 「軌道に乗れば売上は伸びます」
これでは、金融機関は判断できません。
立て直しポイント
売上は必ず 分解して説明 します。
例:
- 1日の来客数 × 客単価 × 営業日数
- 月の受注件数 × 1件あたり単価
- 既存顧客数 × リピート率
「なぜその数字になるのか」を説明できれば、売上は一気に現実味を帯びます。
経費が甘すぎる or 現実離れしていないか?
売上とセットで見直すべきなのが経費です。
よくあるNGパターン:
- 人件費を最低限しか入れていない
- 広告費をほぼゼロにしている
- 消耗品・雑費が極端に少ない
- 社会保険料を計上していない
金融機関は「実際にかかるであろう経費」をよく知っています。
経費が少なすぎると、「この人、現実を分かっていないな」と判断されてしまいます。
立て直しポイント
- 同業他社の平均値を参考にする
- 固定費(家賃・人件費)と変動費を分ける
- 開業後3〜6か月は赤字前提で作る
無理に黒字にしないことが、むしろ信用につながります。
利益は出ているのに「お金が足りない」計画になっていないか?
数字が合わないと言われる計画の多くは、損益(利益)と資金繰りが一致していません。
典型例:
- 利益は出ているが、現金が足りない
- 開業直後の支払いを考慮していない
- 入金が2か月後なのに、給与は即支払い
特に、
- 建設業
- 介護事業
- 整骨院・保険診療
- BtoBビジネス
では 入金の遅れ が大きな落とし穴になります。
立て直しポイント
- 「いつお金が入るか」を月別で整理
- 運転資金を多めに確保
- 最低6か月分の固定費を想定
金融機関が見ているのは、「資金ショートしないか」、この一点です。
生活費を無視した計画になっていないか?
創業融資では、事業の返済能力=生活が成り立つか でもあります。
よくある失敗:
- 役員報酬・生活費をゼロで設定
- 「最初は我慢します」で済ませている
これは金融機関から見ると、極めて危険な計画です。
立て直しポイント
- 最低限の生活費を明示する
- 役員報酬を低めでも必ず計上
- 生活費込みで返済可能かを示す
「無理をしない計画」は、評価が高くなります。
数字を直したら「説明の順番」も見直す
数字自体を修正しても、説明の仕方が悪いと伝わりません。
おすすめの説明順:
- 事業の仕組み(どうやって稼ぐか)
- 売上の作り方
- 経費の考え方
- 利益と返済の関係
- 万一の場合の対応策
この順番で説明できると、「ちゃんと考えている人」という印象になります。
まとめ
創業融資で求められる数字は、完璧な予測ではありません。
金融機関が見ているのは、
- 数字に根拠があるか
- 無理のない計画か
- 想定外に耐えられるか
つまり、納得できる数字かどうかです。
もし「数字が合わない」と言われたら、それはチャンスでもあります。
直せば通る可能性が残っているということだからです。
一人で悩まず、数字の作り方・見せ方を整理し直せば、創業融資は十分に現実的なものになります。
より詳しい解説や具体的なご質問は町田市を拠点とする小池税理士事務所にご相談ください。

