【町田市の税理士が解説!】交際費はどこまで経費にできる?~経営者が知っておくべき交際費について
会社を経営していると、取引先との会食や贈答品、接待ゴルフなど「交際費」が発生します。
経営者にとって気になるのは、「どこまでが経費になるのか」「税務調査で否認されないか」という点でしょう。
さらに、2024年度の税制改正では交際費の取扱いが一部変更されています。
今回は、改正内容を踏まえながら、中小企業の経営者が知っておくべきポイントを詳しく解説します。
交際費とは?経費になる範囲
まず「交際費」の定義を押さえておきましょう。
法人税法上、交際費等とは
「得意先、仕入先、その他事業に関係のある者に対して、接待・供応・慰安・贈答などを行うための費用」を指します。
具体的な例としましては、
・取引先との会食や飲み会
・接待ゴルフや観劇招待
・中元・歳暮などの贈答品
・冠婚葬祭における祝儀・香典
が挙げられます。
逆に交際費に含まれないものは
・社員旅行や社内懇親会(福利厚生費)
・社内会議に伴う弁当代やお茶代(会議費)
・単なる私的飲食、役員個人の遊興費
が挙げられます。
つまり、「取引先など事業関係者との関係維持・発展が目的かどうか」が
交際費か否かの分かれ目です。
中小企業の交際費課税の特例
中小企業(資本金1億円以下の法人)は、大企業に比べて交際費についての優遇措置が設けられています。
◆2つの選択肢
①年間800万円までの交際費を全額損金算入できる
②接待飲食費の50%を損金算入できる
②を使用する場合は、接待交際費のうち、飲食代に該当するものを予め把握する必要があります。
どういった場合に使用すべきかを端的に申し上げると、「接待飲食代の金額が年間1,600万円を超える場合」です。
こちらも事例を考えてみましょう。
例えば、年間3,000万円の接待交際費があり、うち2,000万円が接待飲食代だったとします。この場合、年間800万円まで損金算入可能な原則を考えると、800万円までしか接待交際費として損金算入できず、残りの1,200万円は損金不算入、つまり税法上の経費として認められないこととなります。
しかし今回紹介した方法を使うことにより、接待飲食代2,000万円のうち50%にあたる1,000万円を損金に算入することができるようになります。
2024年度(令和6年度)税制改正のポイント
2024年度の改正で、交際費に関する重要な変更がありました。
①飲食費の非交際費算入上限が5,000円→10,000円に引き上げ
・改正前:1人あたり5,000円以下の飲食費は「交際費」ではなく
「会議費」等として全額経費化可能
・改正後:この基準額が倍の1万円に拡大
つまり、1人1万円以下の飲食費は交際費に含めず、全額損金算入できるようになりました。
これは中小企業にとって非常に有利な改正で、会食の多い企業では節税効果が期待できます。
②特例の適用期限が延長
・交際費の特例は2024年3月で終了予定でしたが、2027年3月31日まで
延長されました。
これにより、今後3年間は安心して特例を活用できます。
改正後のイメージ
実際にどう処理されるかを具体的に見てみましょう。
◆ケース1:取引先3名との会食(合計30,000円)
・1人あたり:10,000円
・改正後は交際費ではなく「会議費等」として全額損金算入可能
◆ケース2:取引先2名との会食(合計30,000円)
・1人あたり:15,000円
→基準(1人あたり10,000円)を超えているため、全額交際費となり、
中小企業は「年間800万円まで損金」または「50%損金算入」を選択
◆注意点
・「一部が1万円を超えるから、超えた分だけ交際費」ではなく、
全額が交際費扱いになる点に注意
・同一会場で複数回に分けた場合、合算で判定されることもある
税務調査で否認されないための実務対応
交際費は税務調査で必ず確認される科目です。否認リスクを避けるためには、
次のような対応が重要です。
◆領収書の管理
・店名、所在地、日付、金額が明記された領収書を必ず保管
・宛名は「上様」ではなく会社名にすることが望ましいです。
◆裏書き・記録
・参加者の氏名等
・人数
・会食の目的(商談・打合せ・接待など)
・金額の内訳
これらを領収書や経費精算書に記載しておくことで、税務署に「業務上必要な支出」で
あると説明できます。
会議費との区別
交際費と会議費は税務上の扱いが大きく異なります。
・会議費:打合せや社内会議に付随する軽食や弁当代→原則全額損金算入可能
・交際費:接待や懇親を目的とする飲食代→全額損金にならない場合があり、制限がある。
会社としては「会議費にできるものは交際費で計上しない」方が節税につながります。
まとめ
交際費は「ただの出費」ではなく、事業発展のための投資です。
ただし、税務ルールを正しく理解し、記録を残すことが前提になります。
制度を理解し、うまく活用すれば、節税と信頼関係構築の両立が可能になります。
ご不明な点やご質問、節税に関するご相談は小池税理士事務所までご相談ください。