【町田市の税理士が解説!】「くるみん認定」で実現する働きやすい環境と賃上げ促進税制の上乗せ効果

現代企業が持続可能な成長を遂げるためには、従業員が安心して長く働ける環境の整備が欠かせません。国や自治体が勤務環境の改善を後押しする中で、賃上げ促進税制と連動する「くるみん認定」が企業に多大なメリットをもたらす制度として注目されています。本記事では、くるみん認定の仕組みと取得メリット、さらには認定を受けるための具体的な基準について詳しくご紹介します。

賃上げ促進税制とくるみん認定の連動

前回の記事でも触れましたが賃上げ促進税制は、企業が従業員の賃金を引き上げた際、その賃上げ額の一部を法人税などから控除できる制度です。さらに2024年4月1日以降、くるみん認定を取得した中小企業に対しては、税額控除率が5%上乗せされる仕組みが加わりました。これにより、企業は賃上げだけでなく、働きやすい環境整備への取り組みをより一層促進することが期待されます。
https://koike-tax.com/2025/05/09/taxnews0003/

くるみん認定とは

厚生労働大臣が定める一定の基準に基づき、企業の子育て支援環境を審査・認定する制度である「くるみん認定」。認定を取得した企業は、「くるみんマーク」を自社の商品、広告、ホームページ、求人票などに掲載でき、子育て支援に積極的な企業としてのイメージアップに大きく寄与します。実際、厚労省の調査では、認定企業の約半数が学生向けイメージの向上を実感しており、優秀な人材の採用につながっていると回答されています。

くるみん認定取得のメリット

1. 人材獲得とイメージアップ

認定マークを掲げることで、子育てに理解のある企業として採用市場で好意的に受け止められます。学生や求職者に対して企業イメージの向上を図ることができ、優秀な人材の獲得につながります。

2. 制度の周知と従業員定着の強化

くるみん認定をきっかけに、子育て支援制度を社内で再確認・周知する機会となります。実際、認定企業では子育て関連制度の利用促進により、出産・育児休業を理由とした退職者が減少する効果も報告されています。

3. 業務効率化の推進

認定取得の際には、残業時間削減や「ノー残業デー」の導入、男性の育児休業取得率向上などを具体的な目標として掲げた行動計画を策定します。これにより、無駄な業務プロセスの見直しが進み、企業全体の業務効率化が促進されます。

4. くるみん助成金の活用

常時雇用する労働者が300人以下の企業は、子育て支援に関する取り組み経費として「くるみん助成金」の申請が可能です。これにより、さらなる働きやすい環境の整備に投資できるメリットがあります。

5. 公共調達での加点評価

国や自治体が実施する公共調達において、くるみん認定企業は加点対象となります。これにより、公共事業や入札の際に実利的な評価が得られるケースも存在します。

くるみん認定取得のための基準

くるみん認定を受けるためには、以下の10項目を含む一般事業主行動計画を策定し、全基準を満たす必要があります。

  1. 雇用環境の整備に関する計画策定
    企業が整備すべき環境について明確な行動計画を定めること。
  2. 計画期間の設定
    計画期間が2年以上5年以下であること。
  3. 計画の実施と目標達成
    策定した行動計画を実行し、目標を達成すること。
  4. 計画の公表と労働者への周知
    労働者への情報共有と計画の公表に努めること。
  5. 男性従業員の育児休業・育児休暇の取得割合の公表
  6. 女性従業員の育児休業等の取得割合の公表
  7. 小学校就学前の子どもを育てる従業員への支援措置
    育児休業や所定外労働の制限、または始業時刻変更等の柔軟な対応策を講じること。
  8. 労働時間に関する基準の遵守
    計画期間終了年度において、フルタイム従業員の平均法定外労働時間が45時間未満、かつ月平均60時間以上の法定外労働が行われている者がいないこと。
  9. 業務改善に向けた具体策の実施
    所定外労働削減、年次有給休暇取得促進、働き方改革に関連する具体的な目標の設定とその実行。
  10. 法令遵守
    法律や関係法令に違反する重大な事実がないこと。

まとめ

くるみん認定制度は、企業が単に認定を取得するだけでなく、その過程で子育て支援や働き方改革に積極的に取り組むことを促し、結果として人材獲得、定着、業務効率化という多角的なメリットを享受できる仕組みです。また、賃上げ促進税制との連動により、企業活動の全体的な効果が高まる点も見逃せません。企業として未来への投資と持続可能な発展を考える上で、くるみん認定の活用は非常に有意義な取り組みと言えるでしょう。
くるみん認定の取得についてさらに詳しく知りたい方は、小池税理士事務所までご相談ください。